介護サービス編

業界トレンドNEWS Vol.140

介護サービス編

約10年で市場規模は2倍以上に!成長産業の注目トピックスは?


■高齢化を背景に、約10年で市場規模は2倍以上に。「食・住」など、介護以外へのすそ野拡大も続く

高齢者や障害者などに対して、日常生活への支援を行うのが「介護サービス」だ。分野としては、訪問介護や通所介護などの「居宅サービス」、認知症対応型デイサービスなどの「地域密着型サービス」、特別養護老人ホームなどの「施設サービス」に大別される。介護保険の対象となるサービスの対価は、厚生労働大臣によって「介護報酬」として定められており、1割を利用者が、9割を国と保険者(自治体)が負担する仕組みだ。ただし、介護保険の対象サービスではない「介護保険外サービス(自費サービスとも呼ぶ。下表参照)」の需要も高まっている。

厚生労働省の「平成22年度介護保険事業状況報告(年報)」によれば、2010年度の介護保険給付費(利用者負担を除いた額。高額介護サービス費、高額医療合算介護サービス費、特定入所者介護サービス費を含む)は、対前年度比5.6パーセント増の7兆2536億円。介護保険制度が始まった2000年(3兆2427億円)に比べると、2.2倍以上に拡大した。日本では今後も高齢化が進むため、介護サービスの市場規模も拡大が続くと予想されている。

診療報酬・介護報酬の同時改定や改正介護保険法の施行を受け、12年4月に新しい介護保険制度が始まったことは、業界志望者ならぜひ知っておきたい。この中では、医療処置を必要とする重篤な人や認知症高齢者が増えている現状を踏まえ、訪問介護サービスと訪問看護サービスを一体的に提供する「定期巡回・随時対応サービス」が創設。そのため、医療と介護の連携強化を目指し、介護事業者が医療機関と協力関係を深めたり、看護師やリハビリ職の採用を活発化したりする動きがみられる。ほかには、高齢者住まい法の成立を背景に「サービス付き高齢者向け住宅」の整備がブームになったり、介護保険外サービスに注力する企業が増えたりするなど、介護ビジネスのすそ野は広がる傾向だ。

12年3月期の売上高上位企業としては、ニチイ学館(ヘルスケア事業売上額1385億円)、ベネッセコーポレーション(シニア・介護事業売上額665億円)、通所介護大手のツクイ(489億円)、メッセージ(12年3月に連結子会社化したジャパンケアサービスグループを含めて605億円)などが挙げられる。ベネッセコーポレーション、メッセージといった有料老人ホームを主力とする企業は、老人ホームの新規開設に加え、サービス付き高齢者向け住宅(サ高住)の運営に着手。今後、競争が激化すると見込まれている。一方、通所介護大手のツクイは、通所介護拠点にリハビリ職を重点配置。機能訓練を充実することで、差別化を図る方針だ。

拡大する市場を目指し、他業界から参入を図る企業も多い。例えば、医薬品卸のスズケンは、12年2月に有料老人ホームなどの事業に参入。医療分野とのネットワークを武器に、医療分野との相乗効果を狙っている。また、外食チェーンを展開するワタミは、食事を強みとした介護付き有料老人ホームやデイサービスを展開。高齢者向け宅配事業も成長中だ。ほかにも、大和ハウス工業、明治安田生命、東急電鉄グループといった企業が介護事業に進出。本業のノウハウを生かした新サービスを生み出しており、今後に注目が集まっている。