株式投信は途中購入・解約ができる追加型と、できない単位型に分かれます。
単位型投信の数が減ってしまいましたが理由は新陳代謝の激しい追加型投信の隆盛にありました。


かつては単位型投信が圧倒的多数。現在はわずか2%に

投資信託は、中長期の保有を前提とした金融商品です。ところが、株式投信をいつでも購入・解約が可能な追加型と、購入時期・運用期間が限定された単位型に分け、それぞれについて設定から償還までの平均年数を算出してみたところ、追加型の平均運用年数が2008年の10・9年をピークに下降線をたどっていることがわかりました。

今回は、投資信託の "寿命" についてを、単位型と追加型が登場した背景からひもといてみましょう。

設定から償還までの年数があらかじめ決められている単位型は、一般的に追加型よりも運用年数が短くなっています。実は、日本で初めて投信が登場した1951年には、国内ではこの単位型しか存在しませんでした。かつては定期預金のように一定の年月が経過した後に償還され、償還金をまた別の単位型投信の購入資金に充てるというサイクルのほうが受け入れられやすかったこともあり、50年代後半に追加型が登場しても単位型に圧倒的な存在感がありました。

しかし、「貯蓄から投資へ」の動きが加速する中、98年に銀行での窓口販売が解禁され、のちに投信の運用面の規制緩和も進むと、追加型の勢力が一気に拡大します。

今年4月末現在、単位型は残高ベースで国内株式投信全体のわずか2%を占めるにすぎず、「投信=追加型」という構図ができ上がってしまったと言っても過言ではありません。こうした背景から2005〜2007年ごろまでは償還本数全体に占める単位型の割合がおおむね5割を超え、この割合に比例する形で全体の平均運用年数も5年前後で推移していました。

年間の新規設定ファンドに対する償還本数の割合も、かつては単位型が6〜7割という高い水準で推移していましたが、足元では4割前後に低下しています。

他方、追加型は信託(運用)期間を無期限としているものが大部分で、半永久的に運用を継続することが前提になっています。たとえ目論見書に「無期限」の記載がなくても、約款を変更すれば信託期間の延長は可能なのです。

しかし、追加型の投信であっても、投資家の支持を集められずに恒常的な資金流出が続いたり、運用成績が振るわずに純資産残高が減少し続けたりすると、満期償還日を待たずに繰り上げ償還されることはあります。

追加型の運用期間の短期化は、こうした繰り上げ償還の影響もあるとみられます。成績が低下したすべてのファンドが強制的に償還されるというわけではないですが、市場環境の急変によって、運用開始当初想定していた投資方針を軌道修正せざるをえなくなることはあります。

中長期運用が前提だからといって保有投信を放置してしまっては賢明な投資家とはいえません。保有を継続するか、追加購入するか、あるいは解約に踏み切るか……。最低でも3カ月に1回程度は運用状況を確認し、考える機会を設けたほうがいいでしょう。


【爆笑マネー漫画投信編】家康、身も心も洗われるの巻

追加型の投信の勢力が拡大してから、投信全体の繰上げまでの期間は短くなりました。投信の繰上げまでのサイクルが短くなっていることを知った家康は、まず自分自身を新陳代謝させるべく……。




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篠田尚子(SHOKO SHINODA)
トムソン・ロイター・マーケッツ

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この記事は「WEBネットマネー2012年8月号」に掲載されたものです。