パチンコホールの広告・宣伝規制が一段と強化されている。警察庁が、射幸心をそそるような「○○の日」「○○宣言」「○○○.DAS(どっと出す)」などの文言の入った看板や幟、ビラ、新聞の折込チラシの「適正化」を、改めて徹底するよう求めたのだ。

警察庁はこれまでにも2度にわたり広告・宣伝規制の運用方針の明確化を図り、遵守するよう促してきたが、「悪質な規制逃れ」が存在しているという。

通達は「まったく効き目がありません」

パチンコホールの営業にかかる広告・宣伝規制は、2011年6月22日付で「ぱちんこ営業における広告、宣伝等について(通知)」が、警察庁生活安全局保安課から業界関係者宛てに通知された。

東日本大震災直後ということもあって、華美な広告・宣伝の自粛要請の一環ともいえるが、パチンコホールについて警察庁は「ぱちんこ営業における広告、宣伝等に係る風俗営業等の規制及び業務の適正化等に関する法律」(1948年、風営法)による規制の運用方針を明確化し、パチンコホールによる風営法違反を抑制するとともに、業界の健全化を促すことを期した。

それにもかかわらず、「隠語やさまざまな脱法的表現によって善良の風俗や清浄な風俗環境を害するおそれのある広告・宣伝を行うパチンコホールが存在している状況にある」と指摘する。

さらに最近は、会員向けのメールや、店頭にキャンペーンガールを立たせるなどして暗に知らせるなど、手が込んできている。パチンコ業界に詳しい日韓経済研究センターの間部洋一所長は、「警察庁もかなりイライラしていますね。(通達は)まったく効き目がありません。これから、かなり締め付けが強まるでしょう」とみている。

通達は具体的な表現にも言及。「特選台」や「モーニングサービス」、「本日も『金』メダル」、「等価交換」に「好感度MAX」、「○○○は、ガバッ!!」など、特定の機種の名称、「元気」や「全開」といった平常の営業でないことを示唆する文言、著しく多くの遊技球(メダル)の獲得が容易であることをうかがわせる表現、大当り確率の設定変更が可能な遊技機の設定状況がわかる表現、さらには賞品の買い取り行為への関与をうかがわせる表現は使用できない。

どのフレーズもパチンコホールでよく見かける宣伝文句やキャッチコピーばかり。ホール側にしてみれば、「ここまで厳しく規制して、どうやって集客しろというのか」と言いたくもなるだろう。

中小のパチンコホールの「貸し渋り」再燃か?

パチンコホールの営業認可数は1万2479件(2010年、警察庁調べ)ある。一方、企業情報の帝国データバンクによると、2009〜11年のパチンコホールの倒産は減っている。11年の倒産は22件が発生。前年に比べて6件(21.4%)減少した。

過去10年間のピークである07、08年(各72件)と比べると3分の1以下に減り、負債総額の49億400万円も前年比76.5%減と大幅に減った。倒産のピークだった07年の1722億6200万円と比べると97.2%減の激減だ。

帝国データバンクの早川輝之氏はこの状況を、「パチンコホールの淘汰が一巡しました。新規購入台数や広告・宣伝費を抑えることで経費を節減し、資金繰りに余裕をもたせています。金融機関の融資も戻りつつあります」と説明する。

週刊現代が最近特集した「日本の大金持ち」でも、パチンコ関係者の名前が目立った。

とはいえ、広告・宣伝規制の強化は中小のパチンコホールからじんわりと効いてきそうだ。「金融機関は財務状況がはっきりしない中小のホールには厳しい態度で臨みます。集客力が弱まり、財務が悪化した中小のホールから倒産していくことはあります」と、早川氏はいう。