キャンプで使える科学ネタ




日増しに夏らしくなるこの季節、アウトドア・レジャーへ期待と関心を寄せる読者も少なくないだろう。ここではキャンプで使える簡単な科学を紹介しよう。





■着火剤を作る



キャンプの醍醐味(だいごみ)は何と言ってもバーベキュー。まきや炭火で作った料理は格段の味わいがあるが、意外と手間がかかるのが火起こし。紙から小枝、太いまきや炭などと発展させていくのが基本だが、風や天候によって苦労した方も少なくないだろう。そこで便利なのが着火剤で、アルコールなど引火性の高い成分が含まれ、誰でも簡単に火起こしできる便利グッズだ。市販品も多くあるが、家庭用品でも簡単に作れることはご存知でしょうか。



用意するのはサラダオイルと固める処理剤。もちろん揚げ物に使用した廃油で構わない。作り方も極めてシンプルで、処理剤の説明書に沿って70〜80℃に熱した廃油に処理剤を溶かすだけ。その後、好みの大きさの空き缶に流し込み、ある程度冷めたら丸めた新聞紙を押し込む。完全に固まったら缶から取り出せば完成だ。



使用時は、新聞紙の「芯」に火をつけるだけの簡単仕様。もとより引火点の高い食用油だから常温保存できる固形燃料としても使える。ちなみに、ほとんどの処理剤は植物成分が原料で、固めたあとは「燃やせるゴミ」扱いなので健康面でも心配はない。ゴミも減らせて一石二鳥な着火剤だ。



ちなみに練炭の燃焼温度は200〜300℃、黒炭なら900℃にも達する。ステーキ肉の内部温度はレアなら55〜65℃、ウェルダンでも70〜80℃ほどでしかないのでムダに高温とも言えよう。消火する際も水をかけるのは厳禁。大量の水蒸気が発生しヤケドの恐れがあるからだ。土に埋めてしまうという話も耳にするが、炭は分解されにくく土質をアルカリ性に偏らせるのでNG。



水を張ったバケツに炭を少しずつ入れるか、ふた付きの缶に移して窒息させるなどして、完全に消火をしてから処分しよう。後者なら次回も使えるので財布にもやさしい方法である。



■薫製を作る



料理のなかでも敷居が高く思われがちだが、意外と簡単なのが薫製。香り・風味・保存性に優れた料理法だ。家庭でも可能ではあるが、大量の煙が発生するため、川原やキャンプ場なら心おきなく楽しめる。専用の容器を用意しなくても、切り込みをいれた段ボール箱とスモークウッドがあれば十分だ。



煙の温度とくん煙する時間によって呼び名が異なり10〜30℃程度の低温で数週間いぶしたものを冷燻、30〜60℃で数時間から1日程度を温燻、80℃以上で数時間のものを熱燻と呼ぶ。狙い目は温燻で、日帰りキャンプでも間に合うし、温度面でも段ボール箱で問題ないからだ。



用意した段ボール箱を筒状に組み立て、食材を乗せた金網を上面から吊るす。上面には煙が抜けるように切り込みを入れるか、調整できるように開閉式にしておくのがポイントだ。その後、アルミ皿などに入れたスモークウッドに火をつけ、段ボール箱の下段に入れれば完了。あまり知られていないが、しょうゆやオリーブオイルの薫製がお勧め。食材の代わりに、耐熱容器に入れておけばOKだ。多めに作っておけば後々も薫製テイストの料理が簡単に楽しめる。



温燻ではベーコンやジャーキー、魚介類の薫製が味わえる。ベーコンなら6時間、魚介は2〜3時間程度で完成だ。市販のソーセージを1〜2時間燻(いぶ)すだけでも味わいは大きく変わるので、余興としても手軽に楽しめる。



なお、薫製の香りや保存性は、煙に含まれるアルデヒドやクレゾールのたまもの。どちらも健康的なイメージの無い物質だが、人体には影響がないレベルとのことなので、安心して楽しんでいただきたい。



■シャーベットを作る



冷蔵庫の無い野外では火よりも深刻なのが氷。温んだビールやジュースでは、せっかくのバーベキューも興醒めだ。そんな状況でも冷たいデザートを味わいたい方に寒剤をご紹介しよう。何やら難しそうに聞こえるが、AとBを混ぜると冷たくなる組み合わせ、と言えば分かりやすいだろう。最も日常的な組み合わせは氷と食塩で、頼りなさげに思われるかもしれないが、条件がそろえば-20℃にも達する。



氷と食塩を用いた簡単なシャーベット作りを紹介しよう。まずビニール袋(大)に氷を入れ、氷の1/3〜1/4の食塩を加え、よく混ぜ合わせる。次に好みのジュースをビニール袋(小)に入れ、口を縛ってから先のビニール袋(大)に入れる。ジュースが半分ほど凍ればシャーベットの出来上がりだ。



ほかに比較的安全な冷却材としてドライアイスが挙げられるが、こちらもエタノール(エチルアルコール)との組み合わせで-70℃と強烈な寒剤となるので、興味のある方はお試しいただきたい。



さて、キャンプをより楽しむためには、3-4-3の法則を覚えておくと良いだろう。これは集団行動時の比率で、よく働く人(3割):普通に働く人(4割):働かない人(3割)に分かれるそうだ。働かざるもの食うべからずもしかりだが、7割の人数で間に合うプランを考えるのが肝要なのかもしれない。



(文/関口 寿 ガリレオワークス)