五輪開会式で、ここまで手の込んだショーやパフォーマンスが始まったのは、1984年のロサンゼルス五輪からだそうだ。

確かに東京五輪も、札幌五輪も、自衛隊のマーチやブルーインパルスのパフォーマンスくらいで、大したことはなかった。

五輪は、これまで「開催すれば大赤字」で、どの国も尻ごみしてやりたがらなかったのだが、84年のロス大会は商業主義に転換して大もうけしたことで知られている。

旅行会社を設立して一代で発展させたピーター・ユベロスが組織委員長になって、五輪の運営を根底からひっくり返したのだ。以後、五輪は金もうけができるイベントになり、招致合戦が行われるようになった。

ピーター・ユベロスはのちにアメリカ、メジャーリーグのコミッショナーになって、MLBを大儲けさせる。大した人ではある。

ユベロスによって、オープニングも、これまでのセレモニーから、「金が取れる」ものへと変わっていったわけだ。一説では、オープニングのチケットは市場で2000ポンド(約24万円)を超えたという。その一方で、売れ残っていたとの説もある。

さて、ロンドン五輪の開会式。映画監督のダニー・ボイルの演出。これまでの大会と同様、開催国の歴史、文化を象徴的に表現するオーソドックスなものだ。産業革命、福祉国家、そして女王陛下の国。少し驚いたのは、このショーの演出の中に、エリザベス女王の臨席が組み込まれていたこと。

007ことダニエル・クレイグが、バッキンガム宮殿に女王を迎えに行く。愛犬の2匹のウェルシュ・コーギ―・ペンブローク(金がかかると国民に批判されている)がまとわりつく中、女王がダニエル・クレイグに促され、ヘリに乗り込む。で、ヘリは会場の上空に。このあたり、映像と現実がうまく組み合わさっている。女王は、パラシュートで降下――、と思いきや、夫のエジンバラ公とともに、ロイヤルボックスにお出まし。

86歳のエリザベス女王は、ことし在位60周年を祝ったばかりだが、この演出、気に入っていたのだろうか。ずっと怖い顔をしているのが気になった。

ピーターパン、メアリー・ポピンズからハリポタまで、英国を代表するファンタジーが紹介されたり、ローワン・アトキンス(Mr.ビーン)のパフォーマンスがあったり(これ、良かった)。お腹一杯になる中、テムズ川を渡るボートで聖火が近づいてくる。

ここで入場行進が始まった。

ここまでのところでいえば、武田真治アナも、広瀬智美アナも活躍していない。唯一の収穫は、武田アナがハリポタ好きと言うことが分かった程度か。