『初音ミクの消失 小説版』(cosMo@暴走P 阿賀 三夢也、cosMo@暴走P、夕薙/一迅社)

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 今、初音ミクに代表されるボカロのラノベが大人気だ。『カゲロウデイズ -in a daze-』(じん(自然の敵P)、しづ/エンターブレイン)や『桜ノ雨』(halyosy、藤田 遼、優/PHP研究所)『ココロ』(石沢克宜、トラボルタ、なぎみそ/PHP研究所)などの作品が刊行され、7月20日には『初音ミクの消失 小説版』(cosMo@暴走P 阿賀 三夢也、cosMo@暴走P、夕薙/一迅社)も登場した。

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 そもそもボカロ=ボーカロイドはヤマハが開発した音声合成ソフトで、歌詞とメロディーを入力すればそれに設定されたキャラクターが歌ってくれるというもの。

 そのボカロがラノベになるって一体どういうことなのか?
実はボカロでは、「物語音楽」と呼ばれる、歌詞がストーリーのようになっている曲が人気を集めている。ボカロのキャラクターは、“青緑のツインテールに黒のヘッドセット”の初音ミクのように、ソフトの種類によって名前と容姿、歌声、年齢、身長体重と細かい設定があるが、そうした設定以外に性格や他のボカロとの関係性など自由に想像できる部分もある。この想像の余地が、ボカロ人気の大きな要因のひとつだが、「物語音楽」はボカロを登場人物としてユーザーが想像したストーリーを歌詞に反映させた楽曲。そして、ボカロラノベは、そのストーリー性のある歌詞をモチーフに、小説化したものなのだ。

 1番最初にラノベ化された「悪ノ娘」(悪ノP(mothy)/PHP研究所)シリーズは、「鏡音リン・レン」というボカロキャラを主人公にmothy(悪ノP)が作ったもので、マリーアントワネットやフランス革命を思わせるストーリー。『カゲロウデイズ』はニコ動で計1000万回以上再生されたじん(自然の敵P)による複数の関連曲すべてをつなぐ物語になっている。

 また、卒業ソングとして作られた『桜ノ雨』は全国の学校から卒業式で歌わせてほしいという申し出が殺到し、実際に100校近い学校で歌われたほど中高生に人気曲。小説版は「初音ミクや鏡音リン・レンらボカロたちが高校の合唱部員だったら……」という設定の物語だ。

 ボカロラノベは、単なる曲や小説としてだけじゃなく、その2つを合わせて楽しむことができるというのも大きい。歌詞の世界観が反映されているので、小説を読んでいるだけでも楽曲が思い浮かびより強いイメージが喚起される。また、小説を読んだあとに聴くと音楽もまた違った楽しみ方ができる。新しい読書の形、表現の形ができつつあるのだ。

 “ボカロ文庫”が登場するのも時間の問題! かもしれない。

(ダ・ヴィンチ電子ナビより)