「Chim↑Pom」と言えば、3.11直後に渋谷の岡本太郎の巨大壁画「明日の神話」にアートのゲリラ行為をしたアーティスト集団として覚えている人が多いのではないでしょうか。彼らはその後も広島の空に「ピカッ」という文字を飛行機雲で描いたり、カンボジアで撤去した地雷で、高級バッグなどを爆破するといった奇抜な活動で注目を集めてきました。

 そんな彼らの著書『芸術実行犯』によると、Chim↑Pomはもともとバンド感覚の軽いノリで集まった集団だったことがわかります。しかしながら、その過激さは最初の代表作となった「ERIGERO」からすでに表れていました。これはChim↑Pomの唯一の女性メンバー・エリイが、他の5人の男性メンバーの一気コールにのってノリノリでピンクの液体を飲み、そしてピンクのゲロを吐くという行為を延々とつづけるという、かなりショッキングなもの。衝撃的な作品に、出展した展覧会では「こんなのアートじゃない!」と憤慨する人もいたそうです。

 その後この作品に関してはモメにモメたそうですが、そのとき彼らは「不思議な感じがした」といいます。「作品を否定されるのはむかつくけれど、アートのこの熾烈な議論になる感じはいったい何だ、と」感じたといいます。

 この作品は、エリイが爆笑しながら飲んでいるため、「男性の一気コールに虐げられた女性が吐いている」というイメージとはまったく違い、何か新しい「フェミニズムの更新」のようなものが連想できると、彼らはいいます。一方で、現代女性のダイエットや拒食症というテーマを扱っているようにみえる人もいたりと、受け手によってさまざまな解釈が生まれ、それによって議論を生んだ作品となりました。

 この代表作にみるように、一見過激なChim↑Pomの作品は、その中にさまざまな思いや解釈が内包されていることが著書には書かれています。彼らは何を思って岡村太郎氏の作品にゲリラ行為をしたのか。広島の空を「ピカッ」とさせたのか。地雷で高級品を爆破したのか。それらの行為に対する彼らの「覚悟」が書かれた一冊になっています。



『芸術実行犯 (ideaink 〈アイデアインク〉)』
 著者:Chim↑Pom(チン↑ポム)
 出版社:朝日出版社
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