「みんな持ってるから買って!」の「みんな」って何割?

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 子どもが親に何かをおねだりする時によく言うのが「みんな持ってるから買って!」という一言。
 これを言われると甘い親なら「学校でみんなの話題についていけなくなったらかわいそう」と、つい買い与えてしまいたくなる気持ちにもなりますが、実は持っているのは少数のお金持ちの子だけだったという話は往々にしてあります。
 実際はごく一部の人にのみ該当することが、あたかも全体の総意のように語られる。
 これは子どものおねだりに限ったことではなく、大人の世界でもよく見られる光景です。
 『「計算力」を鍛える』(PHP研究所/刊)の著者で、経営コンサルタントとして活躍している斎藤広達さんは、本書の中で、統計の知識を身につけておくことで、このような誤った情報を見抜くことができると語ります。

■「みんなダメだと言っている」の「みんな」って誰?
 例えば、社内会議が紛糾すると「あの商品はみんなダメだって言ってるよ。これじゃ販売部がいくらがんばっても売れない」などといった暴言が飛ぶことがあります。
 仮にこれが実績のある上司が言ったセリフだったとしても、真に受けてしまっては方向性を間違えた商品開発をしてしまいかねません。
 そもそも、上司のいう「みんな」とは誰なのか。「みんな」といっても、事情をよく聞くと、数百ある取引先のうち、ダメだと言っているのは2、3社だったりする可能性だってあります。
 統計学に「正規分布」という言葉がありますが、これは簡単に言うと、ある事象についてグラフ化すると平均値を頂点とした山型ができ、サンプル数の7割ほどは平均値の前後の数値に収まることを指します(前述の子どものおねだりも、7割が持っているなら「みんな」と言っても差支えないでしょう)。
 人の意見もまた、「正規分布」になる傾向があるため、前述のような「全然ダメだ」という極端な意見を持つ人も一定数存在します。
 しかし、この意見は「まあまあである」という意見を平均的な意見からは大きく離れているため、山型のグラフでいうとふもとに位置するはず、つまり、数としては少数派であるという仮説が立てられるはずです。

■「人工衛星が落ちてくる!」その確率は?
 メディアの報道も、これと少し似ています。
 「人工衛星が日本に落下する可能性も!」というニュースを見ると思わずドキッとしてしまいますが、これもよくよく読んでみると、本当に落下する可能性は限りなくゼロに近かったりします。
 これも正規分布でいえば、中央値(平均値)から極端に離れた数字です。
 「経済破綻の可能性も!」「世界同時不況がくる」など、マスコミ報道にはこの手の平均値から極端に離れた数字を使って危機感を煽るようなものが溢れています。

 難解なイメージのある統計ですが、本書では統計について特別に勉強したことのない人でもわかるようにやさしく説明されています。
 本書を読んで統計を学んでみると、それが単なる小難しい学問分野ではなく、実生活に驚くほど役立つことに気づくはずです。
(新刊JP編集部)