ロンドンへ向け絶好調の朝日健太郎(右)。五輪アジア最終予選では強打にブロックに覚醒したプレイを見せ、日本の五輪出場権獲得の立役者の一人となった「ロンドンでは日本語で叫んでやりますよ!(笑)」
 ビーチバレー国内ツアー第3戦・大阪オープンは22日、靱テニスセンター(大阪市)にて男女決勝、3位決定戦が行われた。

 ロンドンオリンピック代表の朝日健太郎(フォーバル)・白鳥勝浩(湘南ベルマーレ)組には五輪前最後の公式戦となったが、決勝で井上真弥・長谷川徳海組(ペボニア・ボタニカ)をフルセットで破り優勝した。

 女子優勝は浦田聖子(千の花)・西堀健実(丸善食品工業)。3位には西村晃一・ジョー・ヒルマン組(WINDS)、田中姿子(フリー)・溝江明香(産能大)組が入った。

 普段はテニスの試合が行われるセンターコート。5000人が収容できるスタンドの最上段には五輪アジア最終予選を一緒に戦った日の丸も掲げられ、5日後に迫ったロンドンオリンピックの壮行会の意味合いも強い男子決勝となった。

 代表の朝日・白鳥組にとっても五輪前最後の試合。死闘を制し奇跡的に五輪代表権を獲得した6月下旬のアジア最終予選から、今月初めの代表決定戦と、チームを高めていく時間のない中で国内ツアーとはいえ、貴重な実戦の場であった。

 その思惑は如実に表れた。代表チームは立ち上がりから長谷川を狙っていく。井上・長谷川組に対しては、身長187cmの長谷川ではなく、178cmの井上にボールを集める戦略がセオリーだが、あえて長谷川を狙った。「(身長の高い)長谷川の攻撃に対するこちらの対応力を試したかった。五輪に向けプラスになると考えた」と朝日が話すように、この大会を五輪のテストマッチと位置づけていた(準決勝でも201cmのジョー・ヒルマンをあえて狙った)。

 しかし、井上・長谷川組にも思惑があった。昨年度の総合チャンピオンだが、絶対王者と呼ばれた朝日・白鳥組を倒し優勝したことはまだない。今シーズン、王者が再結成され初めて巡ってきたチャンスだ。「朝日さんに仕事をさせないようにした」(長谷川)とボールを白鳥に集める。朝日にボールと集め白鳥に仕事をさせないのがセオリーだが、こちらも「あえて」の戦略をとる。

 両者のセオリー無視の戦略と思惑が交錯する。第1セットは長谷川の攻撃を朝日のブロックと白鳥のディフェンスで受け止め、代表チームがリード。中盤、白鳥の攻撃が長谷川のブロックに止められ同点においつかれるが、最後は朝日・白鳥組が突き放しセットを取った。

 第2セットは井上・長谷川組の思惑が上回る。序盤、井上のサーブで白鳥からエースを奪うと、次第に白鳥の動きが悪くなる。レシーブが乱れ、それにつれトスも乱れると得意のショットが決まらなくなり、強打は長谷川のブロックの餌食になった。途中、代表チームは戦略を取り下げ、井上を狙うものの勢いを止められず、21−14の大差でセットは井上・長谷川組が取った。

 第3セットも勢いのまま、井上・長谷川組が走った。中盤に4点差のリードを奪われた朝日・白鳥組がタイムアウト。ここから代表チームの思惑が思わぬ形で効いてきた。

 「最後はフィジカルの問題だった」と話す長谷川のプレイ精度が落ちてきた。長谷川は常にボールを集められ、また白鳥の攻撃を止めるため、常にブロックに跳んでいた。

 朝日・白鳥組が徐々に点差を縮め、終盤長いラリーとなったボールを長谷川がトスミス。ネットを越えたボールを朝日が強烈なスパイクで直接コートに叩き込むと、一気に流れは傾き試合は代表チームのものとなった。

 何度も交錯した思惑だが、井上・長谷川組の思惑はあと一歩で打ち砕かれた。テストマッチと位置づけた代表チームの思惑は相手のミスから何とか勝利で実を結んだ。

 朝日は話す。「ロンドンを踏まえた戦いだった。内容のある試合で白鳥がここまで狙われることは海外でも国内でもほとんどない。いい収穫だったと思う。(直前の)ロス合宿では基本的な練習を重ねてきており、白鳥のレシーブと自分のブロック、あとはトスの精度がポイントになるだろう。この優勝でオリンピックに向け弾みがついた」。

結果は次の通り
□女子3位決定戦
田中/溝江 2(21-13,21-12)0 松山/宮川
□女子決勝戦
尾崎/草野 0(17-21,20-22)2 浦田(聖)/西堀

□男子3位決定戦
今井/畑 0(14-21,10-21)2 西村/Joe
□男子決勝戦
井上/長谷川 1(19-21,21-14,12-15)2 朝日/白鳥

(取材・文=小崎仁久)

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