地方自治体編

業界トレンドNEWS Vol.139

地方自治体編

平成の大合併で3232あった地方自治体が、1719に減少。地域の魅力をアピールする取り組みとは?


■「住民や観光客に選ばれる地域づくり」を目指し、民間と連携しながら魅力を高める試みが活発化

都道府県(広域自治体)、市町村・特別区(基礎自治体)の役割は、健康、安全、環境といった地域住民向け行政サービスを提供すること。人口構成、社会・経済状況などによって地域の重点課題は異なるが、全国的に人口減少・少子高齢化が進む中、どの自治体も「限られた財源をやりくりし、多様化する住民ニーズを満たす」という難題に取り組んでいる。各地で、地域の担い手と彼らの雇用を確保するための「地域間競争」が激化しており、自治体には魅力的な地域を作る努力が必須。そこで自治体職員には、優先度の高い課題を解決する事業を企画して住民や事業者、国などと連携しながら実行し、評価を行って次につなげるという高いマネジメント能力が求められている。

いわゆる「平成の大合併」(1999年から2010年にかけて進められた市町村の合併)により、1999年当時3232あった市町村数は、2012年4月時点で1719にまで減った。さらに、自治体が財政再建に乗り出したことなどもあって、地方公務員の総数も減少。2011年4月時点の地方公務員数は約279万人で、1994年に比べて約15パーセント減となった。なお、人口の多い都市は「政令指定都市」(20市)、「中核市」(41市)、「特例市」(40市)という指定を受け、国や都道府県の業務を部分的に担っている。

このところ、自治体の「新たなカタチ」を巡る動きが活発だ。特に目立つのが、消防・救急や介護・福祉などの業務を複数の市町村で共同処理するケース。広域連携によって効率アップを図り、行政サービスの質を維持、あるいは向上させるのが狙いだ。また、各地域の魅力を互いに活用し、圏域全体で住民の定住を進める施策「定住自立圏構想」も取り組みが進む。これは、都市機能を持つ「中心市」と、独自の自然や文化を持つ「周辺市町村」が役割分担・連携することで、住民が必要とする生活機能を確保する枠組み。2012年時点で65の圏域が設定されている。ほかにも、大阪府と大阪市・堺市を解体して特別自治区からなる大阪都を新設する「大阪都構想」や、それに連動して提唱された「中京都構想」など、大都市の在り方を見直す議論も巻き起こっている。

従来の自治体は横並び意識が強いと言われたが、近年は、それぞれの道を模索する傾向が見られる。とりわけ、民間と協力して地域の魅力を高める流れが強い。例えば、横浜市は東京急行電鉄と「次世代郊外まちづくり」の推進に関する協定を締結。東急田園都市線沿いの郊外で、老朽化しつつある住宅地の再生に取り組み始めた。北九州市は、環境問題や超高齢化社会などへの先進的な対応、官民連携による海外向け「水ビジネス」への参入などが評価され、「環境未来都市」の一つに選ばれている。さらに、過疎地区の活性化事業や、地域を挙げての介護予防事業といった方策も、各地で行われている。

東日本大震災を機に、地域の結びつきを再強化しようとする自治体もある。例えば、市のホームページをフェイスブックに完全移行し、自治体職員と住民とのコミュニケーション増、情報発信力強化などを目指している佐賀県武雄市が代表格だ。町内会などの地縁(ちえん)が弱まるのに対応し、SNSなどを使って地域のネットワークを構築しなおす試みは、今後増える可能性があるだろう。