[其ノ二 FX投資戦略編]過剰な豪ドル利下げ懸念。追加利下げはない!?
長引く「リスクオフ」ムードで、資源国通貨の豪ドルが軟調。日本の投資家が好きな通貨だけに先行きが気になる。


世界株安と中国経済の急減速懸念を超えて、豪ドル反発か

3月以降に台頭した中国経済のハードランディング(急減速)懸念や、5月以降の世界的な株安といったダブルパンチで、豪ドルは3月の88円台から6月には一時74円台へと大きく下落しました。この間の下落は基本的には海外要因主導でしたが、豪州でもインフレ率が低下し、5月、6月にRBA(豪州準備銀行)が計0.75%の利下げを行なったことも響きました。

ギリシャのユーロ圏離脱懸念やスペインの銀行セクターや財政に関する懸念も再燃しており、いわゆる「リスクオフ」的な市場環境の中で、豪ドルは売り圧力を受けている状況です。また、豪州金利市場でも、年内に1%以上の追加利下げが行なわれることが織り込まれています。

もっとも、これらの豪ドルの売り要因には変化の兆しが見られます。これまで景気減速を黙認していた中国当局が経済成長を重視する発言を行なってきており、政策金利の引き下げや財政出動により下支えされ、政府の今年の成長率目標である7.5%を下回らない可能性が高まっているからです。

世界株価、特に米国の株価も、5月の下落はそれまでの一方向の上昇の調整である側面もあるほか、毎年5〜6月に下落する傾向があることから、季節的な一過性の下落だった可能性も高いのです。米国景気が緩やかながら回復して企業業績の改善が続けば、株価の反発要因となります。

こうした中、豪州金利市場の大幅利下げ予想は行きすぎで、追加利下げの可能性は低いとみられます。このため、主要通貨の中で比較的高い金利を提供している豪ドルは、対円などで回復に向かう可能性が高いでしょう。

日本円の注目材料としては、消費税関連法案が国会を通過するとしても将来的な財政再建のペースは遅く、さらなるソブリン格下げの可能性が残っています。また、日銀の金融緩和は市場の期待ほどペースは速くないものの、欧米諸国で追加緩和が行なわれなければ、日銀のバランスシートは来年半ばにかけて着実に増加に向かう見込みで、相対的な金融緩和は円安要因といえます。



【今月の先読み軍師】
山本雅文(MASAFUMI YAMAMOTO)
バークレイズ銀行チーフFX ストラテジスト

日本銀行で10年にわたり重要な為替取引や調査に従事。その後、日興シティグループなどを経て、現職。特に欧州経済に詳しい。



【為替チャート編(今月の知略)】
高金利狙いは値動き安定の豪ドル/米ドル!

日本で高金利狙いのFXというと「円売り・豪ドル買い」が人気ですが、実は世界的に見ると、豪ドル/米ドルのトレードが活発です。米国の政策金利は0〜0.25%と日本と同じゼロ金利政策をとっており、この政策は2014年の後半ごろまで継続すると、FOMC(連邦公開市場委員会)が発表しています。

また、世界の取引量は豪ドル/円よりも多いため流動性が高く、値動きも比較的安定しています。たとえば、4月の1日平均の値動きは豪ドル/円が1.5%に対して、豪ドル/米ドルは0.8%です。

直近は、豪州の利下げに加え、リスクオフで資源国通貨の豪ドルが売られていますが、これは対円も同じ。つまり、「米国の利上げが当面ない」ことが前提なら、豪ドル/米ドルのほうが値動きが安定している分、ロングポジションを安心して持っていられるかもしれません。

次に実際の売買のタイミングを考えてみます。右上の図は、豪ドル/米ドルのボリンジャーバンドの±2σシグマを表示しています。相場は95.5%の確率で±2σのバンド内で動くといわれ、±2σにタッチしたときが、相場が逆に動く目安です。

さらに、±2σの上下の幅が大きく広がる「エクスパンション」が見られると、強い勢いが生まれ、トレンドが継続しやすくなります。このタイミングで順張りするのがセオリーです。実際にチャートでも、ボリンジャーバンドに対する豪ドル/米ドルの反応は強い一致が見られ、相性がいいので、ぜひ使ってみては?

【今月のテクニカル軍師】
福島 理(TADASHI FUKUSHIMA)
マネックス証券 マーケティング部

テクニカル分析はもちろん、投資家の売買動向からマーケットの動きまで熟知。日本テクニカルアナリスト協会会員。



【個人投資家編(今月の戦果)】
FXルールを守れるように、よりシンプル化

投資の中でも、特にFXは "欲望と恐怖" に打ち勝つ必要があります。それを達成するために大切なのが、ルール! 負け越しているので、ルールをシンプルに変更っ。

?「日足・4時間足」のトレンドに乗る
?ロット(枚数)を守る
?大きなトレンドに沿う

大きなトレンドとは、スタンスとして、「ユーロを売る」こと。反発時はノーポジションで見守ります。

5月8日はルールにマッチしたので「売り」。エントリーはよかったのに、利益確定が早すぎたのが反省点。4時間足で切り返すまで待てない私の弱さがここにあります。ルールを守って、「すぐ損切りする」「利益確定を待つ」。一緒に実践しましょう♪

【今月のトレード将軍】
川島寛貴(HIROTAKA KAWASHIMA)
みんかぶ

FXのSNS(交流サイト)「みんなの外為」を運営。自身でもFXやCFDに挑戦するサラリーマントレーダー。


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この記事は「WEBネットマネー2012年8月号」に掲載されたものです。