マツダ デミオEV新車情報
EVの価格戦略車の予感!?【ニュース・トピックス:マツダ】

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18650型リチウムイオン電池の割りには割高感がある

 マツダは、2012年10月よりコンパクトカー、「マツダ デミオ」をベースに自社開発した電気自動車「デミオEV」のリース販売を日本国内で開始する。「デミオEV」は、高効率なリチウムイオンバッテリーや独自のモーターを搭載することで、優れた加速性能・ハンドリング・乗り心地などの気持ちの良い走りと200kmの航続距離(JC08モード/社内測定値)を両立。さらに、大量のリチウムイオン電池を搭載しているのに、ベース車両と同じ居住空間・荷室容量も確保しているという。このデミオEVは、中国地方の地方自治体や法人顧客を中心に、合計約100台を販売する予定だ。

 マツダ デミオEVには、どうやら18650型と呼ばれる高容量の汎用電池が使われいるようだ。18650型は、いわゆるパソコンなどの電池として使われている規格もののタイプ。大量生産されることで、日産リーフなどのように、EV用ではないためコストが安い。ただし、箱型のラミネートタイプの日産製電池に比べ、円筒型はどうしても重ねると隙間ができてしまうためにスペース効率が悪い。リーフが24kwh、デミオEVが20kwhと電池容量が少ないが、ボディも小さいデミオなので、ベース車と同じ空間を確保しているというのは、かなり効率の良い設計ができたのか、18650型電池の容量がさらに進化して、コンパクトにできたのではないか、と予想できる。

 価格は専用ボディ、専用電池をもつリーフが376万円に対し、デミオEVは既存のボディに規格サイズの電池で約358万円。価格差は、わずか18万円。ちょっとデミオEVは、割高なイメージがする。

 さて、気になるのは充電回数。18650型電池の充電回数は、600〜1000回以下ともいわれている。とくに、急速充電では、電池の劣化が早まると言われているので、電池の寿命はいったいどれくらいなのだろうか? そんなこともあり、限られた所へのリースということなのであろう。ザックリで計算すると、実電費で充電したくなる距離を100kmとすると、600回で6万キロ、1000回で10万キロ。まぁ、良い感じの耐用距離ではあるが、どれだけ経年劣化で電池の充電容量が減るかにもかかっている。使用環境にもよるのだが、EV専用電池で5年で容量が70%くらいになるのでは、という関係者の話を聞いたことがある。ちなみに、日産リーフのバッテリーの保証は、5年または10万キロ。北米でトヨタとテスラとの共同開発車であるRAV4 EVは、なんとバッテリーの保証は8年または100,000マイルだ。70%まで充電容量が落ちると、新車時の実電費を150kmとすると、5年後には105kmしか走れなくなる計算だ。

 専用電池に比べ安価と言われている18650型電池を使う以上、マツダ デミオEVの価格は、大幅に他のメーカーのEVより安くなくては意味がないだろう。もし、圧倒的な価格差を付けることになれば、EVの普及もさらに加速するはずだ。そうなれば、血眼になり、高コストの専用電池を開発するメーカーに、一泡吹かせることも可能かもしれない。ローコスト型電池を使ったマツダ デミオEVのアプローチに期待したい。
 
 ちなみに、現在世界最高水準のEVとして話題であるホンダ フィットEVは、アメリカでのリース料は3年間389ドル/月だという。1ドル80円換算なら、31,120円/月、3年で約112万円という激安のリース料になる。

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<マツダ デミオEV主要諸元>
車名 デミオEV
駆動方式 FF
乗車定員 5人
寸法・重量 全長/全幅/全高*1 3900mm/1695mm/1490mm
車両重量*1 1180kg
性能 交流電力量消費率(JC08モード) 100Wh/km
一充電走行距離(JC08モード) 200km
駆動用バッテリー 種類 リチウムイオン電池
総電圧 346V
総電力量 20kWh
原動機 最高出力 75kW<102PS>/5200〜12000rpm
最大トルク 150N・m<15.3kgf・m>/0〜2800rpm
充電時間 普通充電(AC200V・15A) 約8時間(満充電)
急速充電 約40分(80%充電)

<マツダ デミオEV価格>
・357.7万円

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