バレないように人の話を“盗み聞き”するコツ

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 電車の中やタクシー乗り場、居酒屋、喫茶店など人の集まるところで、自分とは全く無関係な人々が何やら興味をひかれる話をしていて、思わず聞き耳を立ててことはありませんか?
“盗み聞き”はあまりいい趣味とは言えませんが、誰かに聞かれているとは知らずに話される言葉の断片から話の流れや話題を推測するのは楽しいものです。

 エッセイスト・イラストレーターとして活躍している能町みね子さんの著書『お話はよく伺っております』(エンターブレイン/刊)は、彼女が町なかで偶然耳にした会話の中から、特に風変わりだったもの、興味をひかれたものを選りすぐり、イラストと共に掲載したエッセイ集。
 今回は能町さんにお話を伺い、この本が企画されたきっかけや“盗み聞き”のコツを語っていただきました。

―本書『お話はよく伺っております』は、能町さんが喫茶店や電車の中など、人の集まる場所で盗み聞きしたエピソードを取り上げたエッセイ集になっています。思わずクスッと笑ってしまうような会話や出来事が多く掲載されていますが、こういったお話は能町さんの方がいつも聞き耳を立てているんですか、 それとも、たまたまそういう場面に遭遇してしまうのでしょうか?

能町「日頃から聞き耳を立てていますね。みんなが聞いていないだけで、普段から聞き耳を立てていればいろんな話が聞こえてくると思います。人の話を盗み聞いて、おもしろかったら書きとめたりするのが好きなんですよ。でも、そういう場所を目指してわざわざ出向いているわけじゃないです。たまたま隣にいた人とかの話を聞いてしまうだけで」

―喫茶店などでつい聞き耳を立ててしまうと、そのお話は最後まで聞いてしまうんですか?

能町「そうですね。長い時は2〜3時間聞いていたこともあったと思います。向こうが出て行かなければずっと。聞き取りにくかったりするので、ところどころわからない部分もあるんですけど。この本の「甘酸っぱい歌舞伎町 午前4時」の男女のエピソードは、深夜3時くらいから朝方まで2時間くらい聞いていました(笑)」

―ちなみに能町さんはなんでそんな時間に喫茶店にいたんですか?

能町「仕事をしていました。間に合わない締め切りを喫茶店でやっていたんです。喫茶店で仕事をすることが多いので、この本のエピソードも喫茶店で聞いたものが結構多いですね」

―本書は雑誌『Soup.』で連載しているコラムを書籍化したものですが、この連載が始まったいきさつはどのようなものだったのでしょうか?

能町「まだ雑誌連載を一つも持っていなかった時期に、『Soup.』の編集長の方に“来月号から空くページがあるから何かやりませんか”って言っていただいたんです。内容などは何も決まっていなかったのでゼロからの打ち合わせだったんですけど、会って10分か15分くらいで“いつも盗み聞きしてるからそういうのをやりたいです”って言って(笑)。向こうも“じゃ、それでいいです”ってことですぐに決まりました」

―“盗み聞き”というとあまりお行儀のいい趣味とは言えませんが、バレないぶんには楽しそうですよね。自分もやってみたいという初心者のために“盗み聞き”のコツがありましたら教えていただけませんか?

能町「リアルな話ですけど、相手の方を見ないことですね。あと、会話の内容をメモするなら、見るのと書くのが同時にならないように(笑)。私は喫茶店で仕事をしている時などは、聞こえてきた会話の内容をついパソコンにメモしちゃうんですけど、相手の方を見ながらキーを打ってると明らかに怪しいじゃないですか。だから、あくまで仕事をしていることを装ってます。それと、誰かの話をこっそり聞くならチェーン店より個人経営の喫茶店の方がおもしろいんじゃないかと思いますね」

後編につづく