経済キャスター・鈴木ともみが惚れた、”珠玉”の一冊 (20) 夏の特別対談〜”迷惑な話し方”をしていませんか? 出口汪氏の話術の極意(後編)
鈴木 : 私も自分の講義の中で、あがる原因は三つあると説明しています。
(1)結果に対するあがり(準備不足のため自信がない)、(2)状況に対するあがり(人前で話すことの経験が少なくて不安)、そして(3)は、(1)(2)が混在するあがり。
やはり経験を積むことが大切ですよね。
出口 : なるべく人前で発言したり話したりする機会を増やすこと。
経験の量が満たせない場合は、質を高めることが必要です。
鈴木 : お話をうかがっていると、「話し方のプロ」である出口先生も、もともとはあがり性で、他者意識に欠けた「迷惑な話し方」をされていたのだなぁと、ある意味ホッとします(笑)。
そうしたなかで「論理」が後天的に身につくものなのだということも、出口先生ご自身が実感されてきたわけですよね。
出口 : そうなのです。
「論理」というのは言葉の使い方の技術であり、「論理的な話し方」というのは、もともとの頭の良さとは関係なく、後から習得できる技術なのです。
だからこそ、あらゆる人が身につけることができる武器になるわけです。
ぜひ、その努力を惜しまないでほしいと思います。
鈴木 : 努力という点では、出口先生もかなり一心不乱に邁進された時期があったのですか?出口 : 私の場合は、予備校講師になって2、3年目の頃だったと思います。
まさに死に物狂いの時期でした。
鈴木 : 他者を意識した「論理的な話し方」を身につける訓練というのは、今から始めても遅くないわけですよね。
出口 : はい。
後天的な技術なのですから。
ですので、ビジネスパーソン(特に若い方々)にはその訓練を積んでもらいたいと思います。
私たちは死ぬまで生涯会話をし続けます。
無自覚なうちにしているかもしれない「迷惑な話し方」を少し見直してみてはいかがでしょうか?ちょっとした工夫、ほんの少し会話に論理という技術を持ち込むだけで、仕事の進み方も、人生の方向性もきっと大きく変貌するはすです。
鈴木 : 感情語ではなく、互いに論理語で話すようになれば、会話のキャッチボールもスムーズになり、有意義な会話の時間が増えるのだと思います。
と同時に、表層的な会話が減り、互いの理解度が高まって、真の人間関係が築きやすくなるのかもしれませんね。
私も、日常から「論理的な話し方」を意識して過ごしたいと思います。
出口 : ただ、時には親しい人との間での「感情語」や「愛撫語」も必要だと思いますよ!鈴木 : そうですね(笑)。
上手にオン、オフと、言葉をコントロールしていければ会話そのものを楽しめるようになりますね。
出口先生、今回は実践的なお話をありがとうございました!出口 : ありがとうございました。