空きスペースは意識してつくる/書棚に空きがあれば、資料が山に埋もれることがなくなる。目当ての資料へのアクセスに時間がかかることは、絶対に避けたい。ジャンルごとに整理し、仕事が終われば透明のケースに詰めて倉庫にしまっている。

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■引き出しの中身を「回転」させる重要性

書棚の整理でも、アクセスの早さがテーマになります。ジャンルごとに並べているので、本の高さはあまり揃っていません。しかも予備のスペースを確保しているので、見た目は雑然としています。スペースをつくるのは、そのジャンルに新たな本が加わっても二段置きや横置きをしないで済むからです。背表紙が一覧できなければ、効率よく本にアクセスすることはできません。

デスクまわりを考えるうえで、意識しているのは「回転率」です。デスクに備え付けの引き出しを思い浮かべてください。文房具や資料が入れたままになってはいないでしょうか。それは引き出しのなかのツールが「回転していない」状態といえます。デスクの引き出しは大きすぎるうえに数が少ないので「回転率」が落ちるのです。私はA4サイズの書類がゆったり入るタイプのクリアチェストを愛用しています。段ごとのインデックスは以下の通りです。

「企画メモ」「文房具類」「領収書」「保証書」、いつか役に立ちそうな気がする物を入れる「捨てがたし」、ゆっくり考えたほうがよさそうな資料を収納する「よく考えてみよう」……。各々の好みや職種、必要に応じて変えてください。「早起き野球」や「引っ越し」があってもいいですが、「緊急」の段はつくらないほうがいいでしょう。早くしなければならないのに箱に入れただけで満足してしまう危険があります。

自分には何が必要なのか。それはその人の個性や能力、仕事の内容によってそれぞれ違います。「おのれを知る」ことが自分に合ったツールを見付ける第一歩であり、使いこなす条件になってきます。私は忘れっぽいので、思いついたアイデアはすぐメモにとっておきます。このとき筆記具がないと大変困ります。ノートは割り箸袋や左手などで代用できますが、書きつけるものがないとお手上げです。そこで手持ちのすべてのカバンに筆記具を常備するようになりました。忘れることを前提にあらかじめ入れておくわけです。

付箋は、筆記具や名刺、2000円ほどの現金などと一緒に常備しているツールのひとつ。本を効率よく読むうえでは欠かせません。お勧めは小さくて安い「ポスト・イット(ミニ)」。読み進めながら、読み手の関心に沿って「使える」と思った個所には本の上部に、手に入れたい資料や文献の書かれた部分には横に付箋を貼ります。また書き手の主張に沿って面白いと思ったらページの角を小さく折り、ときには感想などを書き込みます。一読してからチェックを辿って5分ほど再読すると、理解力は数段上がります。コツは上部の付箋と折り目はそれぞれ10カ所程度にすること。あまり多くマークするとどこが重要なのかわからなくなってしまうので注意が必要です。

■「書庫」の仕事効率化ツール大公開

【A】継続テーマは床に直置き/簡単に片付かないテーマは、毎日通りかかる場所に資料を置いて、自動的に目に留まるようにしておく。このときは普天間基地の移設問題に関する資料が立てかけられていた。手前に置いているのは山口誠『グアムと日本人』(岩波新書)。

【B】課題本は「再編集」する/章立てが悪く、目次が用をなさない書籍もある。写真の本は『そして殺人者は野に放たれる』の執筆時の参考文献。論旨をクリアにするため、ラベルを貼って「再編集」した。自分とは正反対の意見をもつ人の著書ほど、徹底的に読み込むことが重要。

【C】サイズは無視して中身で分類する/ジャンルに応じて資料を並べているため、ときには単行本の横に雑誌が差し込まれることもある。背表紙が見えなくなることは避けるべきだが、見た目の乱雑さは、「機能美」を損なうわけではない。

【D】背表紙が見渡せる薄型書棚/日本語で書かれた本の奥行きは99%が15cm以内に収まることがわかっている。愛用の「ロング書棚」は上部の奥行きが17cmで、労せず収納した姿が美しい。自身のウェブサイト「ガッキィファイター」で読者向けに販売したこともある。

※すべて雑誌掲載当時

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作家・ジャーナリスト
日垣 隆
1958年、長野県生まれ。『そして殺人者は野に放たれる』で新潮ドキュメント賞受賞。愛用ツールについては近著『知的ストレッチ入門』(新潮文庫)に詳しい。

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(作家・ジャーナリスト 日垣 隆 構成=山川 徹 撮影=小原孝博)