消費増税に備える! 柳澤美由紀の”生活防衛術” (3) ”イザ”というときに慌てない - 急な入院、医療費を抑える3つのコツ

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もうすぐ夏休みですね。

山や海、旅行、帰省など、さまざまなイベントが待っているのではないでしょうか。

普段と違う生活をすると、体調を崩したり、ケガをしてしまったりしやすいもの。

イザというときに慌てないために知っておきたい、医療費節約の3つの知恵を紹介します。

病気やけがで医療機関にかかったとき、大半は保険診療の対象になります。

いわゆる3割負担(70歳未満)の医療費で、その月の医療費が1万円かかったとしても、患者が病院に支払うのは3,000円です。

風邪やケガによる通院であればたいした出費になりませんが、手術を伴う入院をしたり、抗がん剤治療などを受ける場合、3割負担といえども費用が高額になります。

たとえば、非ホジキンリンパ腫に用いる抗がん剤「リツキサン」は1コースで毎週1回、最大8回の投与が必要です。

身長170cm、体重60kg、体表面積1.65?の男性患者がこの治療を受けた場合、1回あたり約30万円の医療費となり、3割負担でも毎回約9万円の現金が必要になります。

8回投与すれば2カ月間で約72万円の出費です。

こんなときに役に立つのが高額療養費制度の「限度額適用認定証」です。

高額療養費制度とは、保険診療の患者負担額が毎月一定額を超えた場合に還付請求することで超過分の払い戻しが受けられるもの。

とても頼りになる制度ですが、払い戻しを受けるまでに少なくとも3カ月かかり、高額な医療費を支払うために高金利の定期預金を解約したり、キャッシングなどでお金を借りたりしなければいけないこともありました。

でも、病院に限度額適用認定証を提示しておけば、病院に支払うお金は高額療養費制度の自己負担限度額までになります。

70歳未満の自己負担限度額は月収53万円以上の上位所得で15万〜16万円程度、住民税非課税世帯で3万5400円、それ以外(一般)で8〜9万円程度となります(所得、年齢、実際の医療費により異なる※図表1)。

入院中の食事代(1食260円)などは別途支払うことになりますが、高額な立て替え払いが防げます。

先に紹介した抗がん剤治療を40歳男性(月収40万円)が受けた場合、3割負担となるので1回の治療費は約9万円です。

所得区分は「一般」に該当するため、1ケ月に4回、2カ月にわたって投与を受けた場合、約72万円(約36万円×2カ月)を病院に払い、その3カ月後に約54万円(約27万円×2回)の還付を受けることになります。

しかし、限度額適用認定証を病院に出しておけば、病院への支払額は高額療養費の自己負担限度額となります。

ひと月の支払いは8万9430円(=8万100円+(医療費120万円−26万7000円)×1%)になり、約3回分(2カ月で6回分)の治療費を払う必要がなくなります。

最終的に出て行くお金は同じでも、立て替え払いがあるかないかで家計への影響は違います。

特に入院前には限度額適用認定証の申請は忘れずに行いたいものです(手続き方法は加入している公的医療保険の窓口に聞いてください)。

70歳以上は「高齢受給者証(70〜74歳)」または「後期高齢者医療制度の保険証(75歳以上)」が限度額適用認定証の代わりになります。

70歳以上で住民税非課税世帯ならさらに医療費が安くなる可能性があるので、限度額適用認定証を受けておきましょう(図表2)。

高額療養費の自己負担額が低くなるだけでなく、入院中の食事療養費の減免も利用できて便利です。

高額療養費は月初めから月末までに請求された保険診療費が対象になります。

入院するなら入院期間が月をまたがないようにするのがコツです。

70歳未満の場合、同じ人が同じ月に複数の医療機関・科で月2万1000円以上の医療費を支払った場合は、それらを合算して高額療養費の請求をすることができます。

同じ人が同じ医療機関で入院と外来それぞれで2万1000円以上払った場合も同様です。

還付請求を行う際は領収書のコピーが必要になるので、限度額適用認定証の対象とならなかった場合でもあっても領収書は必ずとっておきましょう。

確定申告の医療費控除は領収書の現物が必要になるので、請求する場合は必ずコピーを使ってください。

また、同じ世帯で同じ健康保険に加入している人が、同じ月にそれぞれ2万1000円以上の医療費を払っている場合も一緒で、合算して請求することができます。

日本の健康保険は諸外国に比べて手厚い内容になっていますが、申請主義なので手続きをしないと恩恵を受けられません。

忘れずに活用してくださいね。

(※70歳以上の場合も同様のしくみになっていますが、2万1,000円以上という金額のしばりはありません)