ロタウイルスから乳幼児を守れ!さまざまな血清型に対応するワクチンが誕生

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7月13日、MSDは、5価経口弱毒生ロタウイルスワクチン「ロタテック内用液」の発売記者説明会を開催した。

同ワクチンは1月に薬事承認を取得し、7月20日より販売を開始する。

説明会では、臨床データの説明やロタウイルス胃腸炎の予防について講じられた。

ロタウイルスは感染力が強く、ほとんどの乳児が5歳までに一度は感染するという。

主な症状は下痢、嘔吐(おうと)、発熱であるが、重症化すると、脱水症状やけいれん、脳炎などの重篤な合併症を引き起こす場合もある。

治療方法は対症療法のみであり、衛生状態の改善だけでは感染を防ぐことは難しい。

そのため、重症下痢症に占めるロタウイルスの割合は、先進国と開発途上国ではほぼ同等であり、WHO(世界保健機構)はすべての地域において、ロタウイルスワクチンの定期接種化を推奨している。

同ワクチンはすでに107の国と地域で使用されており、安全性、有効性には自信があると、同社代表取締役社長 トニー・アルバレズ氏。

同ワクチンの販売によって日本の公衆衛生へ貢献し、ロタウイルス胃腸炎やその予防に関する社会的認知を高めたいと語った。

続いて、同社グローバル研究開発本部長・白沢博満氏より、ロタウイルスの特徴などが解説された。

ロタウイルスには多くの血清型がある。

そのなかでも、ロタウイルス胃腸炎の発生原因の約90%を占めるのは、主に5種類(G1P[8]、G2P[4]、G3P[8]、G4[8]、G9P[8])。

しかし、血清型の分布は年ごとに異なるため、1つの血清型だけに対応するものでは予防は難しい。

そこで同社では、G1、G2、G3、G4およびP1A[8]型の5つの血清型のロタウイルス株を含む5価のワクチンを作成。

これにより、流行しやすい主要な5つの血清型に対応可能となった。

また、ロタウイルスは自然感染を繰り返すことで、ロタウイルス胃腸炎に対する予防効果が高まる傾向にあるという。

一度もロタウイルスに感染していない乳幼児の発症リスクと比較すると、初回感染で77%、2回目の感染で83%、3回目の感染で92%もの予防効果があり、血清型に対する免疫反応が確認された。

同ワクチンは3回接種によって、重度のロタウイルス胃腸炎の発症を予防することが示されている。

最後に、慶應義塾大学医学部感染制御センター・岩田敏(さとし)教授が講演した。

ロタウイルス胃腸炎は、入院を伴う重症胃腸炎の原因として最多とのこと。

生後6〜24カ月の乳幼児に発症しやすく、世界中の小児の95%が3〜5歳までに発症するという。

感染経路は主に糞口感染だが、接触・飛沫(ひまつ)感染の可能性も考えられる。

ロタウイルスに感染すると、脳炎や脳症といった合併症を伴うこともあり、その後遺症率はインフルエンザ脳炎(25%)に比べてロタウイルス脳炎(38%)は高いそうだ。

また、非常に感染力が強いので、院内感染を起こしやすい。

岩田教授は、早くから免疫をつけるためにも、初回接種は14週6日までを推奨している。

早期のワクチン接種により、ロタウイルスを”予防”することが大事なのだ。

同ワクチンの有用性については、臨床試験の結果をもとに解説した。

国内での臨床試験結果によると、重度のロタウイルス胃腸炎に対し、100%の予防効果が認められている。

さらに、オーストラリアでのワクチン導入によるデータも発表された。

ワクチンを接種した年齢層でロタウイルス関連胃腸炎による入院数が減少し、接種していない年齢層でも減少したという。

これにより、集団免疫が獲得されている可能性が示唆された。

同ワクチンを接種することで、発症を予防するのはもちろん、感染を防ぐこともできる。

導入する意義は大いにあるが、日本ではまだ定期接種は実施されておらず、予防接種の必要性やロタウイルスそのものに対する認知度は低いという。

「ロタウイルスについて、ほとんどの方が知らないのが現状。

私の娘もワクチン接種について知りませんでした。

これからは病気そのものを啓発していかなくてはいけない」と岩田教授。

予防接種のスケジュールや効果と副作用、そして早期に予防接種を受けて免疫を得ることについての重要性に関する情報提供が急務とのこと。

そのためにも、小児科学会はもちろん、医薬品メーカーや行政とも協力し、インターネットやマスコミなどを活用して正しい情報を発信していきたいと語った。