三連休の最終日、今日(16日)は神奈川県横浜市の神奈川県立県民ホールで行われた「落合博満講演会」に行ってきた。約2400人が入る大ホールはほぼ満員。客席にはドラゴンズ監督時代のレプリカユニフォーム姿の客もチラホラ。連休を利用して愛知から来た人もいたようだ。



落合博満前監督(以下落合)は冒頭いきなり、一部で報じられたジャイアンツの渡邊恒雄会長との会食の事実を否定して笑いを取っていた。最近は企業相手の講演が多いらしく、そういう限られた人を相手に話したことでもすぐに漏れるので今日の様な一般のファンの前でどこまで話して良いのかいろいろ考えた、と問題発言を期待するファンやマスコミ関係者を牽制してから話に入った。

人を教える、人を育てるにはまず自分がいるうちはその相手に結果が出ると期待したらダメだ。教える、育てる相手に「この程度のこともわからないかな…」と思う前に、自分の過去を振り返り、自分が逆の立場だった頃にそれが自分に理解出来たかをまず考えるべきと。落合自身、オリオンズ入団当時の山内一弘監督の指導を全く理解出来なかったという自分の体験も話に挿入。「山内さんは“かっぱえびせん”と呼ばれてね、まあ今の若い人に“かっぱえびせん”と言ってもわからないだろうけど…」と“かっぱえびせん”とは何かというところから説明し始めた。そして何年か経ち、プロとして結果を残すようになって初めて山内前監督の教えの意味を理解出来たと言っていた。

また、“野球教室”の類の仕事を一切受けない方針についても語り、「ちょっと行って1時間か1時間半教えて、相手のプラスになる訳がない。もしやるのならとことんやる。それに指導者が普段どんなことを指導しているかわからないと教えられない。元プロ野球選手が直接教えてくれたことと、普段の指導者が教えていることがもし違ったら、たぶん子供たちは指導者を信用しなくなる…」から無責任なことは出来ないとはっきり言っていた。

では“野球教室”の類の仕事をせず、テレビ局との契約も無し。唯一契約を交わしているのは日刊スポーツだけという落合は何をしているのかという疑問が出てくる。また何故日刊スポーツだけと契約したのかとの疑問があろう。日刊スポーツに関しては、ドラゴンズの監督に就任する前まで契約しており、ドラゴンズの監督就任に際し、当時の西川順之助球団社長が日刊スポーツの社長に頭を下げて借り受けた経緯があったという。その時に退団した際の復帰も事実上約束されていたそうだ。今回落合の解任に際し、ドラゴンズ球団も日刊スポーツも社長は交代済み。落合は当時の日刊スポーツ社長に、気を遣わないで下さいと断ったそうだが、どうしても戻ってきて欲しいといわれて日刊スポーツとの契約を決めたという。落合は既に各地で何本も講演をしており、ファンも追っかけのようにどの講演にも付いていく人がいるそうだが、この日刊スポーツとの話は今日が初めての披露だという。球団社長がそこまでやるのは異例中の異例らしい。特に日刊スポーツは中日グループとしてはライバルに当たるのだから…。そしてそうこうしていたら、講演の仕事が一番多くなり、あとは日刊スポーツに二週間に一度書く、野球をあまり観ていなくても書けるコラムと、月一本のNHKテレビ「サンデースポーツ」への出演。などだそうである。

ちなみに講演を中心に来年の1月まで予定が詰まっている。解説の仕事などいつ来るかわからないから、どんどん講演の仕事を入れているという。そして自ら「来年の1月まで仕事を入れているということは、週刊誌に書いてあるような、来年の監督就任はないということ。そもそも今年で契約が切れる監督はほとんどいない。」と断言していた。まぁ、契約は来年(2013年)まででも今年の成績とは無関係に首がすげ変わりそうな球団もなくはないが…ん?WBCなら可能かなと思ったのは敗戦処理。だけではあるまい…。

NHKではおそらく次の週(22日)に「サンデースポーツ」に出演し、今後のペナントレースの展望について語ることになっているという。パ・リーグは1位から6位まで最後にどこがどうなるかわからないだんご状態だが、セ・リーグでは横浜だけはもう優勝の可能性はない、とはっきり話すという。「ルイーズ(ランディ・ルイーズ)なんて獲る必要ない。ダメ元で筒香(筒香嘉智)使おうよ。そもそも広島に1勝しか出来ないんじゃしょうがない。でも自分も去年は神宮で勝てる気がしなかった」と言って笑いを取っていた。また監督時代のテレビ映りについて「『負けてても涼しい顔してすわっていられますね?』とよく言われたけど、あれでも実は頭に血が上っていて腸が煮えくりかえっていた」とのこと。ベンチでの話ついでに、主砲の和田一浩が不本意な見逃しストライクを取られて三振になった時のぼやきっ放しを注意していたエピソードも披露していた。審判がストライクと言ったらストライクなのに、審判に不満を言うだけでなく、ベンチに戻ってきて周りの者に誰彼構わず愚痴を言う…「あれは低いよ、絶対低いよ」。チームメートだけでなくスコアラーにまで。落合は他の選手に悪い影響を及ぼすからとたしなめたが、「わかりました」とは言うものの数日経つとまた繰り返し。井端弘和は内角高めのストライクを取られるとベンチの自分に助けを求めながら審判に抗議するくせがあり、それもやめろと何度も注意したが治らなかったらしい。