旧日本軍の「従軍慰安婦」という名称を韓国政府が「性奴隷」「性的奴隷」に変更する用意があるなどと、韓国の複数のメディアが報じている。クリントン米国務長官もそうするように指示しているとの韓国側報道もある。

ただし、本当にクリントン長官が「性奴隷」に変更するよう指示したのかは不明だ。また、「強制連行された従軍慰安婦」の存在自体に疑問を投げかける声もあり、国内ネットでは「さらに屈辱的な呼び名にする意図が不明」などといった冷笑も起こっている。

「クリントン長官発言」報道は「誤報だ」とネットで物議

韓国の有力紙「中央日報」の日本語電子版によると、2012年7月13日に開催された国会の外交通商統一委員会で、「日本軍の従軍慰安婦の名称を『性奴隷』に変更する用意がある」と韓国外交通商部の金星煥長官が述べた。「従軍慰安婦」というのは元慰安婦の意見を反映したものだから、より実態に則した名前が妥当と判断したという。名称をめぐっては、クリントン長官が「慰安婦」ではなく「性的奴隷」を使うよう指示したとも書いている。

クリントン長官の「発言」報道はネットでも大きな話題になった。12年7月9日付けの朝鮮日報日本語電子版には、「慰安婦(comfort women)」という言葉の代わりに「強制的な性的奴隷(enforced sex slaves)」にするようにと部下に指示していたことが8日までに分かった、と書いている。これは米国務省の高官から日韓の歴史問題について報告を受けた席で語ったもので、アメリカも日本政府に対し姿勢を変えるべきだ、という姿勢表れだとしている。

ただし、このクリントン長官発言についてネットでは、クリントン長官はアメリカで行われているアジア人の人身売買について発言しているだけで、旧日本軍の従軍慰安婦とは関係が無い、という指摘があり、産経新聞やアメリカの一部メディアは12年7月10日付けで、米国務省のベントレル報道部長の話として、こうした発言は確認しておらず、国務省は通常、非公式会議に関する報道には言及しない、などと書いている。

「従軍慰安婦が気の毒だ」と言う意見も

「性奴隷」への名称変更について日本国内では、なぜより屈辱的なものにするのか、その意図がわからないとし、

「子供から、性奴隷ってなに?と聞かれた親はどう説明するんだろう」
「私たちの祖母・母・姉は性奴隷です、って力説する国民ってどうなのよ」
「慰安婦が気の毒。韓国人が慰安婦差別をしとるとしか思えん」

などといった冷笑もネットで起こっている。

日本政府は1965年の国交正常化の際に交わした協定から、慰安婦問題は「完全かつ最終的に解決済み」との立場を貫いている。韓国の市民団体は2011年12月、ソウルの日本大使館前に元慰安婦がモデルという少女のブロンズ像を建てた。野田佳彦首相は3月26日の参院予算委員会で、少女像に書かれた「日本軍性的奴隷問題」という表現について質問されると、「正確なことからは大きく乖離している」と答弁し、早期撤去を要請していると語っていた。