問題を見つけ出し解決に導く。コンサルに必須の旅人の視点とは

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 目先の営業成績を上げるためなら、社内の他部署の足を引っ張ることもいとわない会社と、全社的に協力しあうのが当たり前の会社。後者の方がいいに決まっているのに、現実に回りを見渡せば前者のような会社も多いのではないでしょうか。
 “全体最適と部分最適”と呼ばれる難しそうなテーマを、軽快でコミカルな小説風に書いてのけたのが『オアシスはどこにある?―渇きを癒す組織論』(楽田康二/著、育鵬社/刊)の著者・楽田康二さん。組織が抱える問題を読み解く鍵や解決のヒントについて、お話をうかがいました。今回はその前編となります。(新刊JP編集部)

■問題を見つけ出し解決に導く。コンサルに必須の旅人の視点とは

―“全体最適と部分最適”というテーマを取り上げた理由は何ですか?

「取り上げたかったテーマは三つありました。一つがこの「全体最適と部分最適」、二つ目は「コモディティ化とブランディング」、そして三つ目は「パターン認識とメタシステム」というものです。本当は全部まとめて出したかったんですが、焦点がぼけては困るので、ひとつずつ順番に出すことにしました。最初に「全体最適と部分最適」を選んだのは、本書の中でも触れていますが、このテーマがとても普遍的だからです」

―普遍的と言いますと?

「企業の経営者はもちろん、管理職でも新人でも、会社組織に身を置く人なら誰でも思い当たる話ということがあります。それだけじゃなく、夫婦や家族、部活動やサークル、マンションの理事会や町内会、大きい方なら国会や国連など、およそ人が二人以上集まって作るどんな組織にも当てはまる話なんです」

―つまり、ビジネスの領域に限らないテーマと言うことですね。そういえば、読んだ印象がビジネス書っぽくない印象を受けましたが、そのあたりは狙いですか?

「はい。例としてわかりやすいので会社についての話になっていますが、ビジネス書というカテゴリに限定したくないという気持がありました。そこで、演劇の脚本を書いたり、ネットでショートショートを何百編も発表している友人※1に声をかけて、「これこれこういう内容を本にまとめたいが、面白いストーリーが欲しいから手伝ってくれ」とお願いしてこういう本が生まれました。シットコム※2みたいな楽しいストーリーのおかげで読みやすくて、伝えたいことが無理なく理解できる本にできたと思っています。友人はストーリーパートを、ぼくは各章末の「マスターのもうひとこと言わせて!」を執筆しました」

―なるほど、共著と言うことですね。ちなみに楽田さんのお名前は、主人公の名前と同じですからペンネームということですね?

「ナイショです(笑)」

―ナイショって。

「なぜこの本を書いたかということについて、もう一つ理由があります」

―話をそらしましたね。でもその話をお願いします。

「ぼくのコンサルティングのスタイルは、主人公の楽田康二と同じように、クライアント企業の中に飛び込んで。部署を越えて企業内のキーパーソンを集めて一緒になって問題点を探ったり解決方法を見つけたりするのが特徴です。そうやってたくさんの企業を回って内情まで深く理解するようになると、だんだん共通のパターンが見えてくるんです」

―さっきお話に出た「全体最適と部分最適」とか、「コモディティ化とブランディング」とかですか?

「はい。本書の中でも書きましたが、たくさんの会社とお付き合いするコンサルタントは言ってみれば旅人のようなものです。そして問題を抱えている会社は、喩えて言えば旅人が訪れる村だったりします。村の中には村の歴史や事情があって、その上で問題が起こるのですから「うちの村だけの特殊な問題をよそ者なんかがそう簡単にわかるわけがない」と思いがちです。ところが実際にはよそ者だからこそわかることもあるんです」

―岡目八目みたいな。

「そうそう。だから、ぼくが初めてのクライアントさんとしばらく話していて「これこれこういう問題がありませんか?」なんて聞くと、「どうしてそんなことがわかるんですか?」なんて聞かれたりします。それで『オアシスはどこにある?』に書いたような話をすると「そういう話が聞きたかった。今度会社の他の者にも同じ話をしてほしい」と言われることが増えてきたんです。気がついたらあっちの会社でもこっちの会社でも同じ話を何度も何度もしていることに気がついて」

―それで本にまとめることにしたんですね。

「そうです。ここにまとめたのは基礎の基礎。どなたでもすぐに知っておいた方がいい話なんです。なのにあまりにも知られていなさ過ぎて、問題が起きて、解決できずにいることが多い。ぼくが一社一社回って話しているのでは遅すぎるんです。だから誰もが一気に読んでわかる形にしようと思った、というのが、本書を執筆しようとしたもう一つの動機です」

(後編に続く)

※1 友人:共著者の高階經啓(たかしなつねひろ)さん。LENZ LLC.代表。コピーライター。ことば師の肩書きのもと発表するアート作品、小説、脚本など作品は多数。Webで超短編小説を続々公開するSudden Fiction Projectを展開中。東京大学医学部卒業。本書ではストーリーを担当。

※2 シットコム:シチュエーションコメディの略。テレビ番組シリーズなどで、ある決まった設定の中で展開するコメディ。