日給1万円以上! 警備員のアルバイト面接に行ってきた






経歴不問で日給の高い仕事、できれば週払い可能な仕事……といった条件で検索すると必ずヒットするのが「警備員」。日給1万円以上が可能で、週払いもしてくれる。



−−というわけで警備員のアルバイト面接に行って参りました!





不肖・谷が面接に行ったのは業界でも大手と呼ばれる古参警備会社。都内どころか全国に支社があって、警備員の派遣を行っている模様。履歴書を持ってその池袋支社へ行きました。



ドアを開けたとたんに、「おはようございます!」の大声が! ううむ。さすが警備会社。体育会系であります。こちらも柔道2段。小学校から高校まで鍛えられておりますから、負けじと高校以来の大声を張り上げます。



「おはようございます!」



ニコニコした三十代前半の、背筋の伸びた面接官であります。「うちの会社はとにかく服装に関して厳しいですから」を何度も仰る。「髪型も大事です。もみあげ長いのはダメです。あなたは大丈夫ですね」

不肖・谷はこの日に備えて井筒監督のように髪型を整えておりましたから取りあえずはセーフであります。背広で武装しておりましたし。



「ワイシャツののど元が良くないなあ」とご指摘。えっ! そうでしょうかと思っておりますと、いきなり不肖・谷ののど元に指をすべりこませました。



「のど元、ワイシャツは指1本入るぐらい。ピシっとというのが決まりです」



むむっ。高校生以来の服装チェックであります。厳しいと思いましたが、後でもっともな理由が判明いたします。



「いつから働けますか?」と仰るので、「スグにでも!」と申し上げました。ところが! スグにでも現場で働けるのかと思いきや、実はそうじゃない。警備員というのは、なんのバックボーンもなくスグに始められるわけではないんであります。



30時間以上の研修を受けなければならない決まりだそうです。これは警備員業法で決まっていて、必ず30時間以上の新任研修を受けて初めて警備員デビューができる。



この会社では1日9時間研修(1時間休み)を4日間受けることになっていると。ありがたいことにお昼ご飯は出るし、研修期間のお金も支払われるんであります。ただし研修中は正規のギャラでなく時給でお支払い。東京都の最低賃金支給であります。



東京都の最低賃金がいくらかみなさんご存じでありましょうか? 837円です。4日間の研修を受けると、

837円×8時間×4日 = 2万6784円 ですね。



で、研修を受けるとこれがもらえるかというとそうではなくて……。研修受けて入社に関する手続きをした後、装備品の支給がされる、と。装備品というのは、制服、ヘルメット、安全靴など警備員に必要な一式であります。これを持ち逃げされたらたまらん! というわけで、装備品支給と引き換えに1万円を会社に預ける、と。いまの言葉でいうとデポジットというヤツです。このデポジットは会社を辞めるとき、装備品を返却すると返ってくる仕組み。



−−なので、研修が終わって、さあ警備員デビューできるぞ! という状態までいくと、上記の金額から装備品デポジット1万円を引いた金額がまずもらえるわけですね。

1万6784円なりです。



まずは研修を完了して警備員レベル1にならなくてはいけません。「池袋に研修所があるのでまずはそこで4日間研修を受けてください」と仰る。聞いてみると毎日研修を開催していて、いつ行ってもいいとのこと。また連続して4日でなくてもいいとも。合計で4日間になれば研修終わりです。



とにかく研修所に行ってみることにしました。研修は午前9時開始で午後6時終わり。10分前には必着であります。



研修1日目。到着すると研修所は雑居ビルの中の一室。部屋の中は教室スタイルになっています。驚いたのは、研修生のみなさんすでに警備員の制服に着替えております。



えっ! まだ装備品もらってないんだけど……と思っていたら、教官から、「本日初日の人はこっちへ!」のお声。



ワイシャツは自前ですが、残りの制服上下、ネクタイ、腕章、警笛、白手袋、ヘルメット、ベルトほかを支給であります。ズボンのサイズが、ヘルメットの首ヒモが苦しい、クツのサイズが……などと研修初日メンバーが教官を囲んでヤイヤイやっておりますともう1時間が経過。ここでも服装について厳しいです。ズボンのすそが長すぎる、ワイシャツは首にピッタリ、ベルトの余分な部分の長さはココまで……などなど。



不肖・谷を含めて初日メンバーは4名、ほか12名、計16名。年齢はやはり若干高めで、20歳代が2名、30歳代が5名、40歳代以上が9名という構成です。全員男です。



みんなで警備員の制服に着替えてまずは座学です。警備員法から入りました。いわく、「警備員は警察官と違って、法律上の権限はまったくない。交通誘導などを行っていても強制などはできません」を口を酸っぱくして教えられます。



法的強制力がまったくないので警備員にできることは「協力してください」とお願いすることだけなのであります。



その「お願い」に説得力をもたせるためにピシっとした格好でなければならん! わけです。ちなみに警備員の制服はすべて国家公安委員会に届け出が行われています。「この格好で警備員業務を行います」と監督官庁の許可をとってるわけです。つまり制服の改造は許されません。



座学では、教材DVDを見る、テキストを読むなどで完全に学校スタイル。不肖・谷も何年ぶりかで、教官に指名されて教科書を読むなんてことをやりました。



さて実技であります。動作はキビキビと、なので右向け右、左向け左、回れ右、を研修生全員で「1、2、3」などと大声で号令をかけながら実践。前述のとおり、不肖・谷は柔道部あがり。こういうのは得意であります。教官より、



「うん。あなたはよく声が出ている」とお褒めのお言葉を頂きました。建築現場などは工事音で満ちているわけで、やはり大声が出せないと困るのです。



基本動作が終わったら実践実技です。「片側通行誘導」、通称カタコウであります。よく道路工事でやっているヤツです。片側車線を通行止めにして、残っている方を使って交互にクルマを通す−−その誘導です。



教官によると、このカタコウがもっとも現場で使われるのでこれをミッチリやるとのこと。



これが結構難しい。まず道路に正対。右向け右、クルマに対して停止の合図、左手をまっすぐ上げる、3回左手を小刻みに振る、警笛を短音3回長音1回、はい停止。半ば左向け左、敬礼……。初回なので大変であります。研修4日目、本日でこの「警備員虎の穴」卒業の先輩が見本を見せてくれます。ううむキビキビできている。



ふたりずつ組になってやりますが、先輩のように流れるようにうまくはできません。20歳代の若者先輩に「大丈夫、4日やれば身につきますよ」と励まされました。トホホ。人間いくつになっても勉強です。



研修2日目。この日初日研修が3名。毎日誰かが卒業して誰かが入って来るわけです。2日目なので、初日者を尻目にささっと着替え。ちょっと優越感があります。



この日の教官は傑作でした(教官は毎日交代)。佐野史郎さん似でありますが、おなかの具合が悪いらしく、「いてて……」とうめきながらトイレに駆け出すこと数回。その分休憩時間が増えて、研修生大ラッキーであります。



座学は、初日同様に研修DVDにテキスト読み。実技は基本動作にカタコウ。やはりカタコウをみっちりやります。この日は、誘導灯、通称ニンジンを持ってです。ライトセーバーみたいでちょっとウレシイ感じであります。研修生全員なぜか誇らしげな顔。



6時終了で解散になると、体を動かしたせいでしょう、なぜか「あー! 今日もやったぜ」という気持ちになります。まだレベル1にも達していないわけなのですが。



研修3日目。もうすっかり着替えにも慣れたもんです。キビキビやります。



「この日が初日だ」の若者が2名。ふたりとも十代です。このうちのひとりがちょっとボーっとしたコであります。研修2日目以降の全員に「おいおい大丈夫かあ」の空気が流れます。なにせワイシャツ着てるのに、その下のアンダーシャツが袖もビロビロの長袖! 髪もいまはやりのツンツンヘア。サンドウィッチマン伊達さん似の教官も若干渋い顔。なにせ服装はとても大事! なのです。



「実際に業務につくときは髪の毛切ってもらうことになるよ」という教官の発言にひともんちゃくありました。



「えー。切らなきゃダメですかね」と抗する若者。



「うちの会社の決まりだからねえ」でヤイヤイやってるともう10時過ぎです。



座学に実技。毎日誰かが入ってきて誰かが卒業するシステムなので、困るのは同じDVDを何回も見せられる場合があること。さすがに3回目になると眠くなります。大丈夫かの若者は初回なのに船をこぎ出す始末。確かにあまり面白いビデオではないですが、ほかの研修生一同はハラハラであります。

しかし実技になるともう寝てはいられません。とにかく大音量で号令。キビキビと右向け右!、左向け左!、回れ右! 大丈夫かの若者もなんとかついてきてます。



実践実技は本日もカタコウ! もう3日目ですのですっかり板についてきました。初日の若者を励ます余裕もあります。



「大丈夫。研修期間中にできるようになるから!」



研修4日目。「警備員虎の穴」の最終日。昨日の「大丈夫かの若者」がいません(笑)。やめたのでしょうか。続けて4日じゃなくてもいいので、また別の日に研修を受けるのかもしれませんが。



実践実技のカタコウもすっかり板についてます。教官に指名されてもビビりません。新技「バック誘導」が伝授されました。ダンプがバックする際に使う誘導テクニックです。ただ教官によると、



「あまり使わないかもしれない」とのことです。使用頻度はともかく、知らないよりはやっておいた方が良いのでありましょう。



午後6時で終了。名残惜しいような不思議な感じであります。同じ4日間を過ごした人になぜか連帯感を感じます。気のせいなんでしょうか。



始めてみるとあっと言う間の4日間でした。これで警備員デビューが可能になったわけです。なぜか結構楽しいのでみなさんいかがでありましょうか?



(谷門太@dcp)