現在、オランダ・ハーレムを舞台として、6チームで争われている、ハーレムベースボールウィーク2012。一昨日の夜には、開幕戦の日本-台湾戦が行われ、その様子は大会ウェブサイトを通じて、ライブストリームで日本の国際野球ファンの目にも届きました。今回は、この大会を巡る4つのストーリーについて、綴ってみようと思います。

 まずは、この大会のディフェンディングチャンピオンである、オランダ代表について。今回のハーレムを皮切りに、昨年11月に惜しくもこの世を去った、故グレッグ・ハルマン外野手(元マリナーズ)を称える目的で、今年1年間ユニフォームに特別なバッジをつけてプレーすることになっています。

 チームの指揮官であるブライアン・ファーレイ監督は、今大会前に行われた記者会見で、この旨を記者団に向けて発表。「今回、このバッジをつけてプレーするという決定は、チームの誰もが心から支持している。これは、野球界における伝統なんだ」というコメントが、オランダ王立野球・ソフトボール協会(KNBSB)のウェブサイトに掲載されています。

 俺の知る限り、オランダ本土出身の野手では、史上初の大リーガーであるハルマン。彼の野球選手としての才能はもちろん、その「チームや同僚のために尽くしたい」という精神性、温和でいつでも笑みを絶やさない人柄は、オランダにおいてもアメリカにおいても、非常に高く評価されていました。ハルマンが生前の姿で、野球界の現場に帰ってくることはもはやありませんが、「グレッグ・ハルマンという1人の野球選手が、確かにかつて自分たちと共に戦っていたんだ」という証を残すことは、非常に素晴らしいことだと思います。彼のためにも、オランダにはぜひ連覇を狙ってほしいものですね。

 さて、1つ目の話題は若干感傷的に終わりましたが、2つ目以降はよりシリアスなものになります。前半が過去の話なら、後半は現在と未来の話と言い換えてもいいかもしれません。もちろん、どちらにせよ内容は非常にポジティブであることに、変わりはないんですけどね。

 冒頭でも触れた日本-台湾の一戦には、このカードが地元オランダ絡みではなく、しかも雨により試合開始が80分も遅れたにもかかわらず、約1000人の観客が観戦に訪れました。ヨーロッパの野球どころたる所以が垣間見れた、と言ってもいいかもしれませんが、実はこの試合、混み合っていたのは観客席だけではありません。バックネット裏のスカウト席にも、MLBの半数にあたる15球団のスカウトが、出場選手のチェックに訪れていたんです。

 今回訪れているスカウトたちは、オランダ、キューバ、アメリカ、プエルトリコ、日本、台湾の全6チームの戦いをチェックし、次のスターとなりうる金の卵を見つけ出すため、全米各地から集まってきています。ニューヨークからは、ヤンキースのダグ・スカイルズとメッツのクリス・ベケーラ。その他の東海岸の球団では、レッドソックスのエドガー・ぺレス、フィリーズのサル・アゴスティネリ、オリオールズのトン・ホフスティーデ、ナショナルズのビル・シンガーという面々が、この日のバックネット裏に陣取りました。

 一方の西海岸からは、アスレチックスのサム・グエニーとクリス・ピッターロ、ジャイアンツのジョー・サラーノ、ドジャースのエディ・オロペサ(彼は以前、フーフトクラッセのスパルタ・フェイエノールトにおいて、1シーズンだけ先発投手をしていたこともあり、今回の試合会場にたどり着くには苦労しなかったかもしれません)、そしてマリナーズのボブ・アングルとウェイン・ノートン。中部の都市群からも、ダイヤモンドバックスのレネ・ザッジャギ、レンジャーズのホセ・フェルナンデス、レッズのミゲル・マチャド、ツインズのジーン・グリマルディが訪れました。またリーグ機構であるMLB本体からも、幹部の1人であるマルティン・ブルーナー氏が、ピム・ムリエル・スタジアムに足を運んでいます。