これから行く人必見!!「館長 庵野秀明 特撮博物館」鑑賞ガイド (後編)

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東京都現代美術館にて開催されている、企画展「館長 庵野秀明 特撮博物館-ミニチュアで見る昭和平成の技-」。

とてつもなく”濃い”内容の同展について、前編では特撮作品を支えてきた展示物を中心に順を追ってお伝えしてきたが、続いては同展の目玉でもある特撮短編映画『巨神兵東京に現わる』と、その裏側についてレポートしていく。

特撮短編映画『巨神兵東京に現わる』の内容についてここで詳しく述べることは避けるが、今まで見たことのない種類の恐ろしさを感じさせる、怒涛の9分間だ。

圧倒的なまでの密度と完成度で描かれる「火の7日間」は、子供が見たら軽くトラウマになるレベルではないだろうか。

最近、どこまでがCGなのか考えながら映像を見る癖がついてしまっている人は、その意識を捨てて見てほしい。

同作は、合成はしているが、全編通してCGは一切使われていない。

一体どのようにしてこの世界が作り出されたのだろうか。

その疑問に答えてくれるのが、上映スペースに続いて現れる展示だ。

庵野監督が描いた「風の谷のナウシカ」巨神兵のシーンの原画に始まり、樋口監督による絵コンテや、巨神兵の雛型、セットに使われた背景画などが並んでいる。

中でも注目してほしいのは、『巨神兵東京に現る』のメイキング映像だ。

どのような方法でビルを崩壊させるのか、着ぐるみとして作れないプロポーションの巨神兵をどう操るのか。

劇中で溶けるコンクリートは? 渦巻く炎は? それらの表現の内側を、テンポ良く見せてくれる。

もちろん、うまくいった所だけを編集してあるので、実際にはこの何倍もの努力や試行錯誤があったことは想像に難くない。

本編よりも長いメイキングを見終わっても、ここでお腹いっぱいになってはいけない。

会場はまだ先があるのだ。

なお、メイキングを見るともう一度本編を見たくなるかもしれないが、運営上の理由から原則として順路の逆戻りはできない。

本編上映中はコンマ1秒も見逃さず頭に焼き付けておこう。

地階に降りると、東宝撮影所内にかつて存在した「特撮美術倉庫」をイメージ再現した展示室がある。

キングギドラの着ぐるみやモスラ幼虫の模型、戦車・戦闘機、小道具、工具などが混在して並んだカオスな空間。

ひとつの作品に使われた撮影モデルがこうして倉庫に保管された後、別の作品で活躍することもあった。

展示台や並べ方、照明などにもこだわって倉庫の雰囲気が作られている。

倉庫を出てさらに進むと、通路から特撮ステージミニチュアセットが見えてくるが、そちらに気を取られるのはまだ早い。

なぜなら、その先には特撮の映像を作った人々とその技術に関する展示エリアが続くからだ。

特撮の父と言われる円谷英二氏の脚本・絵コンテや、実際に使われたカメラ、怪獣映画の方向性を築いた「ゴジラ」第1作目に関連する貴重な展示品をはじめ、数々の特集美術監督や造形師たちの作品が並ぶ。

大型撮影用セットや、様々な作品の中の特撮技術の事例が取り上げられ、「巨神兵東京に現る」のさらなるタネ明かしも見ることができる。

最後の展示室は、庵野氏の個人的なコレクションを通じて、特撮への「感謝」を表現したものだ。

ショーケースにはウルトラマンや怪獣、変身ヒーローなどの貴重なコレクションが所狭しと並ぶが、実際には「優にこの5倍は持ち込んでいる」という。

また、ウルトラマンシリーズから自分の好きなシーンを選んで編集した映像も上映されている。

展示室はここまでだが、この先に来場者が実際に体験して写真も撮れる「特撮ステージ ミニチュアセット」が用意されている。

「巨神兵東京に現わる」で新たに作られたミニチュアのほか、ゴジラやガメラシリーズなどに使われた建物や、戦車、ヘリなどが並べられ、来場者が”大通り”を歩いて通れるようになっている。

家屋やビル、街並みなどの作り込みを間近でじっくり観察しよう。

また、部屋の中から外を見たカットを撮影するための「内引き」セットも覗いてみよう。

締めくくりは物販エリア。

巨神兵の可動フィギュアを始めとした各種グッズや、海洋堂が制作した『巨神兵東京に現る』のカプセルトイ(1回500円)は会場限定なので要注目。

また、同展の図録は展示品の写真と解説、インタビューや対談などを収録した物と、『巨神兵東京に現る』のスチルや、造形・絵コンテ・撮影の様子などの資料を収録した物の2冊組(2700円)で販売されている。

以上、駆け足での紹介となったが、だいたいの流れを掴んで頂けただろうか。

ぜひ多くの方に実際に訪れて、特撮の面白さや奥深さを、肌で感じて頂きたいと思う。