北海道札幌市の女性が、ファウルボールで右眼球破裂などの重傷を負ったとし、北海道日本ハムファイターズと、札幌ドームを所有する札幌市などに4,700万円の損害賠償を求め、札幌地方裁判所に提訴した。



 訴状によると、女性は2010年8月21日に対埼玉西武ライオンズ戦を内野席で観戦。その際、ファイターズの選手が放ったライナー性のファウルが顔を直撃した。



 札幌ドームでは、2006年に内野席フェンス上部の防球ネットを撤去。客に打球が当たる事故が多発していた。原告側は「ネットを設置するなど十分な安全措置を取らなかった過失がある」と主張。女性は「安全対策を講じてほしい」と話しているという。

 これに対し、ファイターズと高橋稔札幌市スポーツ担当局長はそれぞれ、訴状を見ていないので、コメントを控えている。

 同様の訴訟は以前にも仙台地裁高裁千葉地裁でも争われ、いずれも原告側が敗訴しているが、またしても明らかになった今回の事案には、呆れて言葉も出ない。

 野球はそもそも、どれだけボールを遠くに飛ばすかが求められるスポーツ。その結果、打球がスタンドに飛び込むことが往々にしてある。

 そのスタンドで観戦していたのだから、この女性は打球の危険性をまったく知らなかったのだろうか



 プロ野球の試合観戦契約約款では、第5章「入場料の払戻等」に「観客は、練習中のボール、ホームラン・ボール、ファール・ボール、ファンサービスのために投げ入れられたボール等の行方を常に注視し、自らが損害を被ることのないよう十分注意を払わなければならない」とある。

 また、第1章「総則」では、「試合観戦契約は、試合観戦を希望する者が、正規入場券を取得したとき、本約款に基づき成立する」とある。

 さらに、どの球場でも打球の危険性を頻繁にアナウンスしている。



 詳しい法律的な解釈はわからないが、スタンドでファウルボールで怪我をするのは、自業自得ではなかろうか



 そもそもこんな訴えが続くこと自体、日本球界の恥だ。米メジャーリーグには、「女性が、フライを取るか、子供の命を助けるかを選ばなければならないとしたら、誰が出塁しているかなどを考えずに子供の命を助けるだろう」という格言がある。

 そんな格言があるほど、ファンは打球の危険性を知っている。



 そんなアメリカ人に対し、わが国は自らの命を守れないほど、遊びが下手なのか



 非難を承知で言えば、今回ファイターズと札幌市を訴えた女性のようなファンは、球場に来なくても結構だ。先にふれたように、球場ではいつ打球が飛び込んでくるか、わからない。

 それを理解できず、また自らの身を守れず、球団や球場を訴えるのなら、どうぞ自宅でテレビ観戦でもしてください。少なくとも、打球で怪我をすることはないはずだ。