消費増税や復興増税の実施で国民に大きな負担がのしかかろうとしている。その一方で国家公務員は民間サラリーマンの平均412万円(2010年の国税庁の民間給与実態統計調査)の2倍にもあたる808万円もの年収を得ている。こうした官民格差は退職金でも大きい。

 今年3月の人事院発表によれば、2010年度に退職した国家公務員の退職給付は約2950万円で、民間よりも403万円高かったとされている。

 しかし、現実にはこの数字以上の格差がある。大体、この人事院調査からして眉唾ものだ。2006年の前回調査では、民間の退職金は2980万円で国家公務員より20万円高いとし、「民間並みにする」といって退職金の底上げや職域加算の必要性を訴えた。

 ところが同時期に行なわれた厚労省の調査では、民間企業の大卒者の退職金は平均2026万円で、人事院発表とは約950万円もの開きがあった。

 こんな前科があるくらいだから、当然調査にも意図的な操作が疑われる。人事院の調査では、サービス業や企業規模が50人以下の会社が対象から外されている。民間の退職金を公務員より高く見せるために、高給の大企業の数字だけを集めて調査していたのだ。

 これはあくまで平均給付額の話で、エリート官僚となればさらに雲の上の額となる。事務次官の退職金は約7500万円、局長でも約6000万円にのぼる。そのうえ独立行政法人や公益法人への天下りを繰り返し、そのつど退職金を受け取る「渡り」が横行し、彼らは8億〜10億円ともいわれる生涯賃金を稼ぐのだ(※サラリーマンの生涯収入は平均3億4620万円)。

 大蔵省(現・財務省)の元大物次官で「ワル彦」の異名をとった吉野良彦氏は、国民金融公庫総裁、日本開発銀行総裁などを歴任し、81歳の現在もなお公益財団法人「トラスト60」の会長の座にある。

 同じく大物大蔵次官として名を馳せ、1992年に退官した保田博氏は、財政金融研究所顧問、日本輸出入銀行総裁、国際協力銀行初代総裁、日本投資者保護基金初代理事長を経て、現在は資本市場振興財団理事長。すでに5つめの「渡り」となり、5回の退職金を受けていることになる。

 最近の天下りで露骨だったのは、元経産事務次官の望月春文氏だ。長年にわたって日本の原発行政を牛耳ってきた望月氏は、2010年7月に退官、内閣官房参与に横滑りした後、今年6月に原子炉メーカーである日立製作所の社外取締役に就任した。日立で望月氏が受け取る報酬は年間2000万円とも囁かれている。

 無茶を押し通した大飯原発の再稼働に国民の多くが怒っているが、原発利権でメシを食う大物官僚には国民の声は届かない。

※大卒・大学院卒の男性の平均データ。退職金含む。独立行政法人労働政策研究・研修機構『ユースフル労働統計―労働統計加工指標集―2008』より

※週刊ポスト2012年7月20・27日号