全世界で9億人以上の利用者を誇るフェイスブックがついに5月18日、米国ナスダックに上場しました。


公募・売り出し価格は1株当たり38ドル(約3000円)。追加分も含めると、上場に伴う市場からの資金調達額は最大で184億ドル(約1兆4600億円)まで膨らむ可能性があります。2004年のグーグル上場時の19億ドルを優に上回り、IT業界ではトップとなりました。また、米国企業全体でも2008年上場のクレジット会社・VISAに次ぐ第2位の資金調達量となり、IPO時の時価総額では過去最大という記録ずくめですね。

名実ともに大型上場を果たしたフェイスブック。しかし上場当時から何やら暗雲が……。世界中から注目を集めたのに、初値はたったの42ドル(高値45ドル)。上場からわずか2営業日目で公募価格38ドルを割ってしまうありさまでした。3営業日目には31ドルで引け、上場時の時価総額から算出すると約200億ドル(約1兆6000億円)が市場から消えてしまいました。上場当日には取引のシステム障害が起こり、さらには主幹事である米国のモルガン・スタンレーが上場直前にフェイスブックの業績予想を下方修正し、一部の投資家にだけ流したという情報が伝わって投資家が提訴する騒ぎにも。前評判がこれだけ高く、欧州問題で揺れる世界に一筋の光を見せてくれると思っていた矢先の出来事だけに、このまますんなり終わりそうにありません。事実、大型上場には世界の株価が引っ張られるという傾向も……。

皆さんは欲しい株があるけど現金がない場合、どうしますか? 持っている株を売却して新たに株を購入しますよね。それが世界中で起こり、1つの銘柄に集中すればどうなるでしょう。一時的かもしれませんが、ほかの銘柄の株価は軟調になりやすくなってしまいます。またそれが失敗に終われば投資家の懐は痛み、次の投資ができなくなってしまいますね。

低迷する金融市場の起爆剤効果を期待されていただけに、しばらくはフェイスブックの株価に一喜一憂してしまいそうです。

若林 史江(わかばやし ふみえ)
株式アドバイザー、徳山大学経済学部特任講師。

この連載では経済を背景に移り変わる金融用語を、できるだけわかりやすく紹介していきます♪



―--
この記事は「WEBネットマネー2012年8月号」に掲載されたものです。