夏休みが近づくと、増え始めるのがアニメ映画の公開。特にポケモンやアンパンマンなど、いわゆる「子供向け」が目立ちますが、一概に「子供向け」とも言えないのが最近のアニメ映画事情。大人でも見ごたえのあるストーリーや感動的な演出など、近年では子供の付き添いで行ったはずの大人が泣けるアニメ映画も増えているような気がします。

 そんな「大人が泣ける子供向け映画」のさきがけといえば、「クレヨンしんちゃん」の劇場版ではないでしょうか。映画のレビューでは「大人が見ても奥深い」「対象は30〜50歳なのでは」なんて声も聞かれるほど。このように大人から支持を集める理由のひとつには、どうやら「ギャップ」が隠れているようです。しんちゃん映画を褒める大人たちの声、その多くは「これは子供向け映画ではない」というもの。つまり「子供向け映画」というアタマで見に行くと、想像以上にテーマ性のあるストーリーや細やかな情景描写などに、ガツンとやられるようなのです。また、普段は「おバカ」と叱られてばかりのしんちゃんが、誰かのために必死にがんばる姿や、ちょっと抜けたところのある父親のヒロシが、家族を守るために懸命になったりする、そうしたテレビアニメとの「ギャップ」もまた、感動の要素になっているようです。

 そんなクレヨンしんちゃんの漫画の連載は、2009年に作者の臼井儀人さんが急逝したことをうけて2010年2月に終了しました。しかし、同年8月、長年チームを組んでいたスタッフがUYスタジオを結成、「新クレヨンしんちゃん」として連載を再開しました。

 その単行本の第1巻がこの7月に発売されます。しかも日本のほか、韓国、台湾、香港、タイ、マレーシア、インドネシア、ベトナムの世界8カ国で同時発売と、その人気は衰えるどころかパワーアップしている様子。発売を記念して、しんちゃんのイラスト入りiPhoneケースやスカイツリーとのコラボグッズが当たるなど、キャンペーンからもその力の入りようがわかります。

 スタッフが総力を挙げて引き継いだ「しんちゃんワールド」。大人も感動させた5歳児の活躍、改めて読んでみたいですね。



『新クレヨンしんちゃん(1) (アクションコミックス)』
 著者:臼井 儀人&UYスタジオ
 出版社:双葉社
 >>元の記事を見る



■ 関連記事
大崎梢さんが語る、全社会人胸アツの『クローバー・レイン』
もし、姉の結婚相手が「鮎」だったら? 突飛な芥川賞候補作『短篇五芒星』
女性の痛みも嫉妬も丹念に描いた『冥土めぐり』、芥川賞受賞なるか


■配信元
WEB本の雑誌