セキュリティ(警備業)編

業界トレンドNEWS Vol.138

警備業を3つに大別すると、機械警備、常駐警備、あと一つは何?


■大手はハイテク機器を駆使した「機械警備」に注力。暮らし全般を守る新サービスの開発も盛んだ

警備業とは、顧客の要望に応じて事故や犯罪を警戒・防止する業務。警備業法が施行された1972年以降、窃盗・強盗事件の増加、検挙率の低下などを背景に、市場は拡大を続けてきた。しかし、2006年にピークを迎えてからは頭打ちの状態。警視庁の「平成23年における警備業の概況」によれば、2011年の市場規模は3兆2675億円で、2006年(3兆5508億円)に比べて8パーセントほど縮小している。大手企業としては、業界1位のセコム(2011年度売上高6792億円)、2位の綜合警備保障(同3047億円)がある。2社は、業界3位のセントラル警備保証(同399億円)以下を大きく引き離し、突出した存在だ。

警備業は、「機械警備」「常駐警備」「運搬警備」の3つに大別できる。「機械警備」は、テレビモニターや各種のセンサーを使ってオフィスや個人宅を遠隔監視し、必要に応じて警備員を現地に派遣するもの。これに対し、「常駐警備」はオフィスビルなどに警備員を配置し、出入管理や巡回などを行って事故・犯罪を防ぐ。また、各種イベントの警備や用心の身辺警護なども、この分野に含まれる。そして「運搬警備」とは、銀行などのATMや現金輸送車などを警備することだ。

機械警備は、1人の警備員が複数の建物を担当できるため、加入者が増えるほど利益率を高められるのが特徴。一方、遠隔監視するための基地局を整備したり、さまざまな機器を開発・改良したりするためには多額の資金が必要で、資本力の豊富な企業が有利だ。機械警備の普及率はまだまだ低く、特にホームセキュリティ(戸建て住宅やマンションなどを犯罪・火災などから守ること)の分野では1パーセント程度と言われる。近年、高齢者世帯を狙った犯罪が相次いでいるため、ホームセキュリティへの関心は高まる一方。また、健康状態をセンサーで「見守る」サービスも成長が見込まれており、大手が積極的に注力している。

これに対し、警備員を派遣することで対価を得る常駐警備の場合、利益率がどうしても低くなりがちだ。また、他社との差別化が難しいため、価格競争にも陥りやすい。特に07年以降の景気低迷によって、警備料金の値下げや解約が相次いだ。さらに、関連資格を持つ警備員の配置基準が施行されたり、労働基準法が改正されたりしたことで、コスト負担も増大。常駐警備を事業の柱にしている中堅・中小規模の警備会社で、経営環境は厳しさを増している。今後のセキュリティ業界では、ハイテク機器を駆使し、機械警備で利益を上げる大手企業と、労働集約型で常駐警備中心の中堅・中小企業との二極化が、一段と進むだろう。

大手2社は、セキュリティ以外の分野に進出している。例えばセコムは、防災、メディカルサービス、保険、地理情報サービス、不動産開発・販売などに進出。顧客の事業・暮らしを支えるためのサービスを、複合的に提供中だ。さらに、セコムは海外進出にも熱心。1978年に台湾に進出して以来、韓国・中国などのアジア、オーストラリア、ニュージーランド、イギリス、アメリカなどでも事業を展開している。一方、綜合警備保障も、本業である警備業と親和性の高い周辺事業に対して積極的に取り組むと表明。このように、多角化を目指して「暮らし全般を支える企業」に飛躍しようとする試みも、大手では盛んに行われている。