現地記者が長谷部の現状を悲観「一刻も早くマガトの下を離れるべき」

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 ヴォルフスブルクに所属する日本代表MF長谷部誠は、2011−2012シーズンのリーグ戦で23試合に出場し、1得点を記録した。しかし、現地で取材を続けるトーマス・ゼー氏はドイツ6シーズン目となる新シーズンについて、「新たなクラブで自分の能力を存分に発揮すべき」と分析した。『ワールドサッカーキング(No.222 7月5日発売)』における連載「メイド・イン・ジャパン」内で語っている。

 ゼー氏は移籍を薦める要因として、ヴォルフスブルクのフェリックス・マガト監督の存在を挙げ、「長谷部にとっての悲劇は、マガトの戦術に一貫性がない点だ」と主張。マガト監督が毎試合、システムやスタメンを変更し続けたことについて、「システムや戦術を熟成させる余裕が全くなく、チームメート間のコンビネーションや意思疎通も向上しない中で攻撃のリズムを作り出すのは至難の業だ」とコメント。ヴォルフスブルクの混迷を説明した。

 結果として、2011−2012シーズンで主に右サイドバックとセントラルMFの2つのポジションで起用され続けた長谷部を、「明確な戦術の中でこそ本領を発揮する長谷部にとって、決まりごとが全く存在しない中盤で見劣りしてしまうのは明らか」とマガト監督の犠牲者となり、自身の持ち味が殺されていると分析した。

 ゼー氏は、マガト監督が2008−2009シーズンにヴォルフスブルクをリーグ戦初優勝に導いた実績を評価しながらも、「マガトが監督に居座る限り、長谷部に未来がないと言っても過言ではない」と断言。ゼネラルマネージャーを兼務するマガト監督が、レンタル移籍させていた右サイドバックのペテル・ペカリークを今夏に復帰させる予定だということを例に出し、「マガトにとって長谷部は『先発陣の穴を埋める便利屋』でしかないのだ」とコメント。「彼のキャリアを考えると、一刻も早くマガトの下を離れ、新たなクラブで自分の能力を発揮させるべきだと思うのだ」という結論を導き出している。

[写真]=千葉格