ドップラー効果で天気が分かる?




救急車は近づいてくる時と、遠ざかって行く時とでサイレンの音が違って聞こえます。



このように、音の発生源や観測者が移動している時に、音の高さが違って聞こえる現象を「ドップラー効果」といい、19世紀中ごろにオーストリアの物理学者クリスチャン・ドップラーが発見しました。



実は、この「ドップラー効果」、結構身近なところに活用されているのです。そこで今回は、この「ドップラー効果」が使われている例を見ていきたいと思います。





■音のドップラー効果



冒頭で紹介したサイレンの例は、音のドップラー効果と言われている現象です。



実際に救急車などのサイレンの音を思い出すと分かるかもしれませんが、音のドップラー効果によって、音源が観測者に近づいてくると高い音として聞こえ、逆に遠ざかって行くと低い音として聞くことができます。



このような現象は、音が波としての性質を持っているために起こります。

■ドップラー効果が起こる理由



ここで、ドップラー効果がなぜ起こるのかを説明しておきたいと思います。



はじめに、音の高さというのは、その音が発する波の周波数によって決まり、周波数が高いほど、聞こえる音も高くなります。



次に、音波の発生源が観測者に近づいてくる時は、波が圧縮されるために波長は短くなり、逆に遠ざかっていく時は、波が広がるために波長は長くなります。



そして、この波長は周波数に反比例するため、波長が短くなるほど周波数は高くなります。つまり、高い音として聞こえます。



これらのことから、音の発生源が近づいてくる時には、波が圧縮されて波長が短くなるため、音も高く聞こえます。

一方、音の発生源が遠ざかって行く時には、波長が長くなるため、音も低く聞こえるわけです。



そしてこのような現象は、同じように波としての性質を持つ、電波や光に対しても成り立ちます。

■電波での活用



ドップラー効果を電波に応用したものは、身近なところでいろいろと使われています。



その中で、もっとも分かりやすいものが、速度を測る仕組みです。



具体的な例としては、野球でピッチャーの球速を計るための「スピードガン」や、自動車の速度違反取締装置「オービス」などがあります。



これらの場合、ボールや自動車など、測定する対象物に対して電波を照射し、元の波の周波数と当たった後に反射してくる波の周波数との差を測定することで、その対象物の速度を求めることができるという仕組みです。

■気象レーダーへの応用



さらに身近な場面で役立っている例としては、ドップラーレーダーを使った気象レーダーがあります。



こちらも、先ほどの速度を測る仕組みとほぼ同じですが、大気中の雲や雨といった小さな粒子に電波を当て、そこから反射してくる電波の波長や周波数を確認することで、風速や風向きを測定し、雲の動きや気流を観測できるというものです。



返ってきた波長が元の波長よりも長くなっていれば、対象物は遠ざかっており、逆に元の波長よりも短くなっていれば近づいてきているということになります。



ただし、雲や雨は、先に紹介したスピードガンやオービスのように常に一定方向に動いているわけではないため、1つのレーダーだけでは、近づいているか遠ざかっているかは分かっても、その正確な進行方向までは調べることができません。



そのため、実際には複数のレーダーを用いることによって、二次元的な動きをとらえています。



このようにして集められたデータをもとに、毎日の天気予報などが行われているわけです。

■まとめ



今回は、「ドップラー効果」について見てきました。



救急車のサイレンの例は誰でも一度は経験したことがあるとは思いますが、それ以外に速度の計測や気象レーダーなど、結構身近なところで役に立っていることがお分かりいただけたでしょうか。



なお、光のドップラー効果を使った例については、またの機会にご紹介したいと思います。

(文/寺澤光芳)



■著者プロフィール

寺澤光芳

小さいころから自然科学に関心があり、それが高じて科学館の展示の解説員を務めた経験も持つ。現在は、天文に関するアプリケーションの作成や、科学系を中心としたコラムを執筆している。