提携企業と強固な関係を築き、自社のIT製品の拡販に貢献

WOMAN’S CAREER Vol.88

日本ヒューレット・パッカード株式会社 卯山絵理さん

【活躍する女性社員】2人の子育てと仕事を両立。入社以来OEMビジネスに携わる卯山さん


■パートナー企業の一番の相談相手として、課題解決に向けて立ち回る

サーバやストレージ、ネットワーク、システム管理ソフトなど、多様な製品・サービスを用いて企業・組織のITインフラの効率化を支援するヒューレット・パッカード(HP)。アメリカに本社を持つ同社において、日本市場での拡販を担っているのが日本ヒューレット・パッカード(日本HP)だ。製品・サービスの販売においては、顧客企業への直接販売のみならず、自社製品を他社に供給し、他社製品として販売するOEM(Original Equipment Manufacturer:相手先ブランド製造)による拡販も行っている。

卯山さんが入社以来携わっているのが、このOEMビジネスだ。「ITに興味はなく、日本HPの社員に魅力を感じて入社。いずれ結婚して、子どもが生まれても働き続けるカッコいいママになりたいと思っていた」と話す卯山さんが志望したのは営業。「顧客の声を真っ先に聞くことができる現場で、会社と顧客について理解を深めたかった」という志望通りに営業職として入社し、日本HPと戦略的提携を結んでいる大手電機メーカー担当のパートナー営業として約6年間、パートナー企業の営業やシステムエンジニア(SE)の提案活動のサポートや、拡販施策の企画を担った。
「お客さまに直接製品を提案する直接販売とは異なり、製品に関する情報提供やパートナー企業の営業・SEの方々の製品知識向上のための研修の実施など、パートナー企業の提案活動を多方面からサポートし、販売環境を整えるのが役割。営業・SEの方々の一番の相談相手としてお客さまが必要としていらっしゃることを吸い上げ、社内の多くの部署と連携してベストなソリューションを提案することが求められました」

担当したのはパートナー企業の官公庁・流通企業向け営業組織とSE組織。卯山さんは自社内でのミーティング以外は客先に通うなどして密なコミュニケーションを心がけ、信頼関係を構築。集めた名刺の数は優に500枚を超えた。そして、2年目にはたった一人でパートナー企業のSE16名を引き連れての米国本社での研修を企画。米国本社やパートナー企業への打診・調整から現地でのコーディネートまでを完遂し、信頼関係を強固なものにした。
「案件は数年にわたって長期的に準備・提案活動するものがほとんど。将来に向けた技術開発方針は米国本社でしかわからないことも多いため、SEの中でもキーパーソンとなる方々に日本では得られないような情報を米国本社で学んでいただき、知識や技術力を上げるだけでなく、当社の製品への信頼感を醸成したいという考えで企画しました。お客さまを現地に引率し、滞在中の移動や食事のコーディネートもして四六時中一緒にいたことで関係も強固なものになりましたし、HPへのロイヤリティも高まる結果に。さらに、この企画がパートナー企業で評判になり、年に1回実施される定例イベントになったのです。このような経験を重ねた結果、お客さまが私の上司ではなくまず私に相談されるようになり、社内からも『このお客さまのことは卯山に聞けばわかる』と思ってもらえるように。ノルマ達成という結果も伴ってきて、『コミュニケーションを繰り返したかいがあったな』と感じました」

6年目に長女を出産した後は営業を離れ、OEMパートナー数社の製品部門に対する情報提供や、ビジネスの効率化のための仕組みづくりを1年間担当。ちょうど新製品が発売される時期で、パートナー企業との調整に奔走した。
「米国本社が開発した製品をパートナー企業の製品として日本で展開するには、米国にはない規制や法律、パートナー企業の製造部門からのより細かな要求などをクリアしなければなりません。そのために必要な情報を米国本社から入手するため、パートナー企業の意向を私がくみ取り、情報がないとどのくらいビジネスに影響が出るのかを整理して、当社のマーケティング担当と協力して米国本社と交渉にあたりました。米国本社から情報を得られない場合もあり、答えのない大変さがありましたが、すぐにお客さまと密な関係を作って一緒に製品化を進められたのは、営業時代の経験があったからだと思います」

8年目からは再び営業職へ。次女の出産による産休・育休を挟みつつ、パートナー企業に対してHPの最新技術・製品を紹介することでHPのValueを届け、両社のビジネス拡大を目指す活動を進めている。入社以来、パートナー企業と自社を結ぶ窓口として「お客さまが何を必要とし、それをどのように解決していくかを考える」ことを続けてきた卯山さん。仕事をする上で心がけていることがあるという。
「まだまだ修業中の身ですが、新人のころから意識しているのは、相手の期待値の1点上を目指すことです。これは、パートナー営業時代の上司から学んだことの一つ。例えば『今週中に欲しい』と言われたものをギリギリではなく1日でも早く提出するなど、質または量、速さなど何でも構わないし、小さなことでもいいので相手の期待をほんの少し上回ることで、『よくやってくれたな』と思っていただける。その積み重ねによって『相談すると絶対に解決の糸口を見つけてきてくれる』などと信頼を得られ、社内の関係者やパートナー企業の方々から感謝される。そのことが自分にとってのモチベーションになっています」

プライベートでは2児の母。出産を経験したことで仕事に対する意識も変化したという。
「仕事に対する責任感が増しました。自分が働きたいと思うから子どもを保育園に預けてまで働いているという責任を意識するようになり、子どもが生まれるまでの『何となく好きな仕事は必死に頑張って、嫌いな仕事はほどほどに頑張る』という感覚はなくなりました。また、仕事も子育ても無駄をなくして要領よくやろうという気持ちも強いものに。どちらも完璧にするのは無理なので、例えばちょっとくらい掃除をしなくてもいいと割り切って、完璧を目指さないようにしています」