日経平均株価とTOPIX。いずれも日本の株式市場全体を見る指標としてポピュラーですが、2つの "ズレ" がマーケットで話題になっています。今月の投資ヒントはそこにあります。


株安局面で止まらない日経平均の割高化現象!

日本株は悲観一色で、気づけば日経平均株価は昨年11月につけた安値8135円を目前にしています。一方で、機関投資家がベンチマークにするTOPIX(東証株価指数)は、6月4日にあっさりバブル後最安値を割り込んでいます。日経平均もTOPIXも、1部上場の大企業で構成された株価指数。上がる日は似たような上昇率、下がる日も似たような下落率になるはず……が、なんだか日経平均のほうが高いんですよね、TOPIXに比べて……。

両者の違いは、日経平均は225銘柄で構成された「単純平均」、TOPIXは東証1部全銘柄で構成された「加重平均」であるということ。株価が高い銘柄の影響が大きい日経平均、時価総額ベースでの実力を示すTOPIXといったイメージなので、値動きに誤差が生じます。誤差を示すのが、日経平均をTOPIXで割った「NT倍率」です。NT倍率は、2009年あたりまでは10倍前後で推移していました。日経平均が1万円ならTOPIXは1000ポイント(計算式は「1万円÷1000ポイント=10倍」)といった感じです。

それが現在、NT倍率 "12倍目前" という異常現象が発生! これは、歴史的に日経平均がTOPIXより高くなりすぎた可能性を示唆しています。明らかに "ヘンな状態" ですから……。

原因は、計算式の違いにあります。日経平均は、見た目の株価が高い(値ガサ)株の比重が高い指数です。具体的にはファーストリテイリングとファナックのウエートが恐ろしいほど高く、実態を反映しきれていません。日経平均において2社の存在は、銘柄ベースで数えれば「2/225」ですが、時価総額ベースで日経平均に占めるウエートは14%強にも上ります。TOPIXでは、この2社で1%強にすぎません。ユニクロは確かに日本が誇るアパレルブランドですが、トヨタ自動車の5倍もの影響力を持つというのはどうでしょう。

年初から、ファーストリテイリングとファナックの株価は好調で、相対チャートでもTOPIXより圧倒的にパフォーマンスは良好でした。つまり日経平均という指数はこの2社だけに持ち上げられている(厚化粧している)側面があって、実態を表していない(スッピンじゃない)のです。これがNT倍率の歴史的高値につながっています。

そこで今後の作戦。中長期で見れば、このゆがみの解消=「日経平均売り・TOPIX買い(NTショート)」の裁定取引の形が出てくる可能性があります。その場合、時間をかけてTOPIXが日経平均より強くなるでしょう。

その局面では、TOPIXにおけるウエートが大きい(時価総額が大きい)のに、日経平均でのウエートが小さい(低位大型株)銘柄が上がることになりそうです。今回のNT倍率のゆがみは極端なため、本来あるべき姿に戻る過程でのインパクトも絶大になるかもしれません。


【爆笑マネー漫画株編】秀吉、美人二人狙いで失敗の巻

秀吉、今月は夜のクラブにご出勤(この時代にクラブぅ〜?という突っ込みは無視)。やたらカワイイ女子二人が目立つ「225」と、人数たっぷしの「TOPIX」、とりあえず「225」にがっついて入店したら今月も大失敗なのでした……。




【今月のファンダ師匠】岡村友哉(YUYA OKAMURA)
金融ジャーナリスト

証券会社の営業、金融情報ベンダーでアナリストを務めた後、現職。日経CNBCでキャスターもこなす。


【入塾したマネー武将】豊臣ジャパン秀吉

日本株をこよなく愛する武将。工夫を凝らして日本株に投資するのが得意なはずだが、失敗続きで入塾。ひたすら考え込むのがたまにキズ。


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この記事は「WEBネットマネー2012年8月号」に掲載されたものです。