2010年にレディー・ガガがアンダーソン・クーパーの番組に出演した際の貴重な2ショット(写真:Splash/アフロ)

写真拡大

そのキリッとした隙のないルックスと、危険な戦場や被災地におもむく体当たり取材で知られる超大物キャスターが、今日は自身のことで爆弾ニュースを発表。「別に隠していたわけではない」と言いますが、ジャーナリストとしての活動の妨げになると、今まで私生活に関しての発言は避けてきました。そのストイックな彼が、重い口を開いた理由とは?
CNNのゴールデンタイムに自らの名前を掲げた看板番組(Anderson Cooper 360° )を持ち、アメリカでは知らない人はおそらくいないキャスター、アンダーソン・クーパー。ハイチの地震の時には長期間現地にとどまり、エジプトのデモ現場では政府軍に自ら連行されるところまで中継し、去年の東日本大震災の時ももちろん日本に駆けつけました。行動派フィールドリポーターの代表と言えるかも知れませんが、スタジオでも主役なので、その影響力は大です。

そのアンダーソン・クーパーが、公的に自分は同性愛者である、と告白しました。

ライターのアンドリュー・サリバン(Andrew Sullivan)にあてたメールの声明の中で彼はこう言っています。「実のところ、自分はゲイで、これまで常にゲイだったし、これからもずっとゲイだ。(それについて)非常に幸せに思うし、自身のアイデンティティに満足しているし、誇りにも思う。」

アンダーソン・クーパーの性的指向についてはこれまで多くのメディアがとりあげ憶測の種になっていましたが、彼は今まで公に認めたことがありませんでした。なぜ認めなかったかについて、彼はこう語りました。

「この件に関しては、友人や家族、仕事仲間のあいだでは全く隠し事はなく常に正直にしてきた(ので別に隠していたわけではない)。この世界が完璧なら、他人が首をつっこむような事柄ではないけれど、立ち上がって人数に数えられることに意義があることもある。自分は活動家じゃないが(人格を持つ)人間であり、ジャーナリストだからという理由でそれを放棄することはない。」

そしてまた、最終的には沈黙を保つことのデメリットの方が、当初よかれと思ったメリットよりも大きくなってしまったとつづりました。

「最近分かったのは、プライベートな生活の一部について沈黙を保つことで、間違った印象を与えてしまったということ。自分のことに関して何か、恥ずかしいと思ったり怖れているから隠しているように思われてしまった。それはまるっきり事実と異なるから悩まされた。それと気付かされたことがあって。(今)全体としては様々な人間を許容できる社会、(人権が)公平になる方向に向かっているけれど、歴史の流れは人々が自分自身を完全にさらけ出した時にだけ前進するものだと。」

自身が同性愛者だと公にしているケーブル放送のニュースキャスターは、同じくCNNに所属する2人を含め5人目になりますが、アンダーソン・クーパーがその中で一番知名度が高く、影響力があるのは間違いありません。ニューヨーク・タイムズ紙(電子版)は「米テレビ業界で、同性愛者であることを公言した最も著名なジャーナリスト」と伝えました。

この公表を受けて、周囲からは賛辞と祝福のツィートの嵐が飛び交いました。CNNの同僚はもとより、親しい友人である女優でトークショー番組司会のケリー・リパ(Kelly Ripa)などからも激励の声が。

去年から今年にかけて、いじめを苦にした10代の同性愛者の若者が立て続けに自殺をしたり、多くの州で同性婚に関する法案が動いている中で、5月にはオバマ大統領さえもが「個人的には」同性婚を指示すると認めました。これまで個人的な見解はジャーナリズムの障害になるだけだ、と言っていたアンダーソン・クーパーですが、少なからずこうした人権問題には肩入れをするということなのでしょうか。

彼は恋愛相手(主に男性)のうわさはあったものの名目上は独身だったので、あこがれていた女性も少なくありませんが、ツィッターなどの反応を見る限りこのカミングアウトに対して女性ファンからも好意的に受け入れられているようです。「書いた手紙(メール)を読んでよけい好きになった!」「(薄々気付いていたので)私のものにはならないってついに分かって残念だけど、 頑張って欲しい」と言うような声がほとんどでした。

懸念されるのは同性愛・同性婚反対派の保守的な視聴者の反応ですが、ケーブル放送ニュースのお気に入りチャンネルはたいてい定まっているもの。保守派はFox ニュースネットワーク(Fox News)を選ぶことが多いので、視聴率にはそんなに影響はないだろうと踏んだのかも知れませんが、移り気の中立派はCNNを視聴していることも多いので、これからの動向が見ものです。

アンダーソン・クーパーがアンドリュー・サリバンに書いたメールはこちらで読めます。(英語)

記事元: