違法駐車という社会問題をスマホで解決する「PARKING DOUCHE」

写真拡大

前回も紹介した「カンヌライオンズ」(国際クリエイティビティフェスティバル)には、今年(2012年)から「モバイル部門」が新設された。スマートフォンを使ったプロモーションが、今後重視されてくることの表れだろう。

最初に、金賞を受賞した「PARKING DOUCHE」を見てみよう。ロシアのオンライン・シティガイド「ザ・ヴィレッジ」は、社会問題になっている駐車違反に対する読者の注意を引こうと頭をひねった。その結果、駐車違反をする車のナンバープレートを市民に撮影してもらい、ネット上にさらすことを考えついた。

ご近所さんの画面に「迷惑車両」が割り込んでくる

駐車違反をする車に道をふさがれて困った市民は、特製のiPhoneアプリでその車のナンバープレートを撮影し、車種や色を入力する。エントリーボタンを押すと、IPアドレスが近い地域の読者が見ている「ザ・ヴィレッジ」の画面に、その車の写真のアバターが登場して、記事の閲覧を妨げ始める。

当然読者はこれにいらだつが、これを消すには、この車の情報をフェイスブックに投稿しなければならない。「SHARE TO REMOVE」というボタンを押して無事に投稿を完了すると、ふたたび安心してサイトを見ることができる。

投稿された情報は、フェイスブックだけでなく、ツイッターやタンブラー、ピンタレストといったSNSで、ネット上に拡散する可能性がある。

この情報を見た「友達」は、迷惑な違法駐車がネット上にさらされるリスクを学習し、自分も気をつけようと思うだろう。車の持ち主が分かる人の目に触れれば、「お前の車で困っている人がいるみたいだぞ」と連絡が行って、移動してもらえるかもしれない。

こんな他人の逆恨みを買いそうなアプリは、日本ではとても流行りそうに思えないが、このアイデアを何かに使えないものだろうか。

たとえば、迷子の写真を投稿すると、デジタル捜索写真として近くにいる人のサイトに表示させるとか、美味しかった飲食店の写真を投稿すると、店の近くに来たときにクーポンが発行されるとか…。

グランプリはコカ・コーラとグーグルのタッグ

「モバイル部門」のグランプリは、コカ・コーラとグーグルが展開した「Hilltop Re-imagined」キャンペーンだ。40年前にコカ・コーラが制作した「世界中の人々にコカ・コーラをおごりたい」というCMを、モバイルの技術で具現化したものだ。

ユーザーは、ウェブサイトから世界各地に設置された専用の自動販売機を選択し、メッセージと自分のメールアドレスを入力する。その自動販売機の前を偶然通りかかった人は、そのプレゼントを無料で受け取ることができる。

さらに、受け取った人は、自動販売機に備え付けられたカメラで動画を撮影し、御礼のメッセージとともに送信することができる。

CMでは世界各国の民俗衣装に身を包んだ人たちが歌い踊っていたが、このキャンペーンで気になるのは「異なる言語をどう処理しているか」。ここにグーグルの「自動翻訳機能」が関わっており、お互いの言語に翻訳されてメッセージが送られるのである。

ザ・ヴィレッジとともに金賞に輝いたのは、ジョンソン&ジョンソンが展開した「BAND-AID MAGIC VISION」という企画だ。特製のiPhoneアプリを絆創膏にかざすと、ディズニーキャラクターのアニメーションが再生されるAR(拡張現実)アプリである。

おもしろいのは、iPhoneの加速度センサーや傾きセンサーと連動し、こどもがiPhoneを振ると、キャラクターの動きが連動するしかけになっていること。ちょっとした遊べるおもちゃになっており、自分がケガしたことを楽しく忘れさせてくれる。

携帯性やカメラの充実、センサーなど、スマートフォンならではの機能が、娯楽性の高いプロモーションに発展していきそうな気配だ。(岡 徳之)