欧州首脳の合意について

写真拡大

ユーロ圏首脳は6月29日、域内の銀行監督を一元化し、欧州の金融安全網が各国政府を経由せずに域内銀行に直接、資本注入できるようにすることや、国債の買い取りなど、金融安定化に向けて金融安全網を柔軟に活用することなどの市場安定化策で合意しました。

また、EU(欧州連合)首脳会議では、経済成長・雇用促進策として、インフラ整備向け融資など、1,200億ユーロ規模の資金を投じることで合意しました。

今回の首脳会議では、欧州政府債務問題への具体的な対応がまとまらないとの見方が事前に強まったこともあり、特にユーロ圏首脳が市場安定化策で合意したことが29日早朝(日本時間の同日お昼前後)に明らかにされると、世界的に株価が上昇したほか、ユーロが買われました。

また、スペインやイタリアの国債利回りが低下した一方、原油などの商品市況が大きく上昇しました。

(※上記グラフ、データは過去のものであり、将来の運用成果等を約束するものではありません。

)対策の詳細までが今回まとまった訳ではないものの、首脳会議への期待が事前にかなり低下していたこともあり、29日の世界の株式相場は、欧州政府債務問題への対応に進展が見られたことを好感しました。

また、財政統合や欧州共同債については、意味のある進展がなかったようですが、債務問題を抱える南欧諸国等への対応について、ドイツの連立政権が従来よりもやや柔軟な姿勢をとりつつあるように見受けられた点は、良いニュースであると言えるでしょう。

なお、欧州の金融安全網が域内の銀行に直接、資本注入を行なうには、銀行監督の一元化を待つ必要がありますが、政府債務問題と銀行システムとの間の悪循環を断つとの意思が明確に示されたことも、評価できます。

ただし、いかなる支援も、例えばIMF(国際通貨基金)による監視など、厳しい条件が付された”覚書”事項であり、関係国・機関に義務を課すものではありません。

さらに、向こう数週間、極端な場合には向こう数日の内に危機が再燃することのないように、まだまだやるべきことは残っています。

例えば、足元の厳しい経済状況が、財政問題の改善に向けた取り組みを妨げることのないように努める必要があると考えられます。

このように、今回の首脳会議での合意をもって欧州を取り巻く困難な状況が一挙に解決する訳ではないものの、少なくとも当面は、市場の混乱に小休止が見られる可能性があります。

また、追加利下げ(1.00%→0.75%)が見込まれている今週5日のECB(欧州中央銀行)の政策理事会が、投資家心理のさらなる改善につながる可能性もあります。

(2012年7月2日 日興アセットマネジメント作成)●日興アセットマネジメントが提供する、国内外での大きなイベント発生時の臨時レポート「フォローアップ・メモ」からの転載です。

→「フォローアップ・メモ」