都内のホテル、大きなホールに席が168席。それでも足らず、立ち見で壁が埋まり、さらにカメラマン席、テレビカメラ席に各メディア関係者が連なった。大きな注目を集めた「なでしこジャパン」「U-23日本代表」代表選手発表記者会見は定刻通りに始まった。

登壇者は、上田栄治女子委員長と佐々木則夫監督。
なでしこジャパン&U-23 ロンドン五輪メンバーはコチラ

上田委員長
「なでしこジャパンは先月のスウェーデン遠征でアメリカに1-4と敗れました。現時点で我々は世界一だとは思っていません。また我々はオリンピックではメダルを獲ったこともありません。先日、佐々木監督がオリンピックに向けた言葉として新たなる挑戦という言葉で表現した通り、我々は新たなる挑戦者としてオリンピックに行かなければならないと考えています。以上です」

佐々木監督
「今までにはない、なでしこへの注目、期待をひしひしと感じております。今回の選考するに当たってのポイントといたしましては、2008年から僕が監督として活動するに当たって好守にアクションするというのが、今年になりまして5シーズン目になっています。2008年、北京オリンピックでは目指したベスト4を獲得することができましたが、そのときにたった1チームだけがメダルをかけられなかったという悔しさを、そのあとのとにかくチャンピオンを目指すという思いで5シーズンやって参りました。

そして僕自身が監督として総括の5シーズン目、そしてみんなで苦しい思いで勝ち取ったロンドンオリンピック、それに向けて、何を隠そう一番光っているメダルを目指して、選手、スタッフ一丸となって戦っていく中でのメンバー選考、その中では好守にアクションするという我々のサッカーを熟知しつつ、それから一人ひとりのポテンシャルのあるプレーの実践、オリンピックでの期待を持った選手、そしてそのオリンピックだけではなくて、その先を見据えたメンバー選考も多少考えた中で選考しました。それでは発表いたします」

ここで代表選手を一人ずつ、佐々木監督が読み上げた。丸山選手の名前が呼ばれた際には小さなどよめきが起こる。

「いずれにしても大会前までには変更が十分に可能です。もちろん戦力として戦えない状況という承認が得られた場合ですが。委員長のご挨拶の中にあったように、我々はアメリカに1-4と大敗しました。これを我々チーム一丸となって謙虚に受け止めて、そして日本キャンプでは男子・実践を伴った強化をしっかりと行って、フランス、そしてロンドン入りしていきたいと思います。いずれにしても、今35名の枠に入っている選手たちも、いずれにしてもチームでしっかりとコンディションを整えていただき、そしてキャンプではしっかり実践する。一丸となって各所属チームのご協力をいただきましてこれまでやってきました。なでしこジャパン、単なるチームでやってきた訳ではなく、これまで数多いクラブチーム、そして日本の31年目の歴史、そして何よりも北京の悔しさをこのロンドンで晴らしていきたいと思っております。よろしくお願いします」

質疑応答は次のとおり。

――監督としての大仕事、メンバー選考を終えた感想を。
「決断をして、さあロンドン・オリンピックいよいよだとひしひしと感じておりますし、まずはこの選考に当たって、非常にこのオリンピックメンバーを目指したメンバーが数多く日本におります。そういった人たちをしっかりくみ取りながら、戦ってきたいということをひしひしと感じております」

――4年前のメンバー選考と今回の心境などの変化は?

「あのときもベスト4へのチャレンジ、そして今回もさらに上を目指したチャレンジという思いで、今回この記者会見に臨んでいますし、4年前は後ろに選手がいたのですが、今回はいなくて良かったと深く思っています(笑顔)」

――選ばれた基準、判断のポイントを教えてください。
「もちろん今までやってきた5シーズンの方針をキープする。なでしこの今のサッカーを表現できる各選手たち、そして何よりもピッチ内だけではなく、ピッチ外でもしっかりとチームワークを持てる選手たち、そしてこのロンドン・オリンピックだけで終わるだけではなく、この先になでしこがつながっていくという中でのメンバーを選考させていただきましたし、選手には期待しています」

――最も悩んだ部分は
「非常に今シーズンになって若い選手たちが非常に成長してくれた感がある中で、少しケガもあって、そこが選考に当たってかなりちょっと、まぁ、どう言ったらいいかな、ぶれたような部分が多少あったかと思いますが、いずれにしても、さっきいった要因の中で、自信を持って選考させていただきましたし、僕自身も期待をしております」

――今回の18名の中で3名大きなケガを抱えながら選考されたと思います。まず岩清水選手について。
「今現状の時点でのパフォーマンスではやはりまだ物足りなさがありますけども、もう少し期間があります。そして合流した時点では、岩渕にしても岩清水にしても、いずれにしてもしっかりしたパフォーマンスができる、その中で日本キャンプでしっかりと我々のサッカーであり、かつ欧米の対応が出来るトレーニングをしっかり積んだ中で、できるか否かというところにも、2名を中心とした中で、岩渕選手自身もそうですけども、十分コンディションが上がってくるという、そういう自負があるところでの選考です」

――岩渕選手はトレーニングを見に行かれたと言うことです。
「彼女だけではないのですが、いずれにしても彼女たちの期待もしっかりと組み込んだ中での選考ですね。それに若いというのもあって、この先も、十分いいコンディションになればさらに先にもなでしこを牽引してくれる選手になるだろうという思いもあります」

――丸山選手にはいかがでしょう。監督が夢に登場してくるということですが。
「僕の夢の登場はあまりいい登場の仕方ではないと思いますけど(笑)、はい。いずれにしても先日の日本でのミニキャンプ、そして現地に行くときのパフォーマンス、そのへんを加味しながら、彼女もやはり日本キャンプでの強化をする中での選考になりました。今回ケガをして選ばれなかった選手ももちろんいますが、故障上がりという選手もいますから、いずれにしても今回については35名の、そしてバックアップは常に本大会にも帯同しながら活動できますから、そういう中での選考になったと思います」

――残り1カ月半です。どんな目標を持っていますか。
「本当にみなさんに期待していただいて、この期待をいいプレッシャーの力にかえて、そして本当に北京ではベスト4になりました。でも本当にメダルを獲った国はすべて優勝を目指した中での結果ですし、今回のロンドンに向けて常にチャンピオンを目ざしながらこの5年やってきました。

その中でワールドカップにつながりました。でもオリンピックは別物でして、特に第1戦。第1戦には魔物があるというのを選手に言われたのですが僕は知らなくて、北京では第1戦でニュージーランドと対戦しましたが、本当に魔物はいるんですね。とにかく第1戦をいい形で入れさせてあげて、そして常にみなさんの期待に応えられるよう精一杯頑張って、選手もスタッフもここで言えば金メダルを目指して、何とか邁進していきたいなと。その中で自分たちのサッカーができれば、金メダルに近づくと信じていい準備をしていきたいと思っております」

――壮行試合のオーストラリア戦については。
「国立を満員にしていただいて、そういう意味ではさらにそういうプレッシャーをいい緊張にかえて、開幕の第1戦という雰囲気をなでしこにもU-23にも与えていただいて、いいゲームをみなさんに見ていただく。そして第1戦ですから結果を常に意識して戦って勝つと、そういうキリンチャレンジカップはいいロンドンの壮行試合になると思っています。ぜひみなさん国立を満員にしてください。みなさん応援に来てください。それが我々への期待だと思っておりますので、よろしくお願いいたします」

――研究され尽くしていると思いますが。
「我々も研究していますので、はい。それは双方ですから、精一杯なでしこらしいサッカーをみなさんに披露してそして結果もと思っています」

――2020年のオリンピック招致活動についての思いはいかがでしょう。
「2011年の、思いのほか、なでしこジャパンの結果で日本のみなさんが感動や勇気や希望をいただいたと。もちろん今回のロンドンでもオールジャパンの活躍。そのプレーのひたむきさなどで、日本のみなさんに同じような思いを伝えたい。それを本当に今の日本には2020年に日本でオリンピックを開催し、今さらに元気よくスポーツを。我々の日本だけではなく、さまざま国が日本にやってきて、それを子どもたちに見てもらう、それがこの2020年はいい機会だと思います。結果はどうなるかわかりませんが、僕自身もぜひこの2020年にオリンピックをという思いです。本当に頑張っていただきたいし、我々も応援したいと思います」

――澤選手の回復具合は? けが人の中で宇津木選手は入らなかったのですが。
「澤選手は、先だってスウェーデン遠征、彼女のその時点での状況で、いずれにしても今チームに戻って一日一日コンディションを上げてもらっていると思いますし、またその日本のキャンプで準備していく中で、彼女のパフォーマンスも上がっているという確信もあっての選考です。宇津木選手については思いのほか回復もよく、今リハビリをやっているのですが、バックアップにも入らなかったといってもですね、その状況の中ではその他の35メイトとして十分に期待できると僕は今も思っているところです。

フランスリーグから帰ってきてのパフォーマンスも非常にいい状態でスウェーデン遠征をやっていました。そういう意味でも今後の進捗状況の中では、いずれにしても今選ばれたチーム状況の変化がなければチャンスがないことはもちろんあるのですが、いずれにしてもその望みというのを1パーセントでもなくすことなくしっかりとリハビリをし、そして常に自分と戦うという意識を持って、辛いけれども頑張ってほしいと思います」

―― 一番頭を悩ませたポジションと、決めたタイミングはいつだったのですか?
「悩みというのは先ほどから話がある、現状のパフォーマンスとして故障を考える、コンディションが今状況を作っているところだという選手を、現状把握というところですね、実際に。思いの外ケガ人が多いとか、思いの外ケガが多かったというのですね。それから選考した状況については、アメリカに向かう途中の飛行機の中で、かなり時間がありましたので、再度自分が決めたメンバーを繰返し、繰返しシミュレーションを行った中で決定しました」

――FWが6人というのは多いのですが。

「FW、MFは微妙ですので、そこはみなさん解釈していただければと思います(ニヤリと笑う)。FWもできMFもできるという解釈をしていただければと思います」

――有吉選手が入らなかったので、両サイドのサブはどう考えているのでしょうか。
「個人名をあげれば、矢野選手が左サイドができ、岩清水選手が右サイドができるというふうに僕は今までの経験、キャンプ等の中で感じています。もちろん有吉選手がいれば両サイドというところ、1対1というのができると感じたところです。そういう意味でもバックアップという中で重要な位置づけだと思います。併用していけるというのを考えた中での選考ですね」

――バックアップメンバーの意図は?

「山根選手は昨年故障続きで、しっかりとリハビリを続けて復帰してきたというところの中で、U-20での経験値というのも世界で戦っています。それも僕自身が指揮している中で彼女の技量を把握しているというのが大きなポイントであり、かつ昨年サッカーを引退するかという気持ちで大変な思いをして乗り越えてきて、今JEFでプレーしている。その状況を見てメンタリティの部分も、将来性も、そして高さでいえば日本にいる選手とスケールがちがうという中で選考しました。

もちろん、もしということもそれで十分対応できる。それも今回のキャンプの中でウイークな部分を修正しなければならないのですが。そういう意味でも、後は将来性という部分を踏まえて選考しています。あと、上尾野辺選手は経験もありますし、そういった意味よりもスウェーデンで調子も上がっていましたし、悩みどころの彼女だったのですが、今回フィジカルも高いということでバックアップに回ってもらいましたが、いずれにしても将来性、いつ誰が入っても対応できるということを、もちろん大滝選手にしても、まだ代表では経験がないのですが、非常に彼女の持っているポテンシャル、パワーですとか、ヘディングも強いですし、ターゲットプレーもまだ安定感はないのですが、シュートも右足が非常にいいということで、将来性を含めて現状のプレーでも十分バックアップになるということで選考しました」

――カナダの印象と、ワールドカップのメンバー21人から3名外れ新戦力が入ってこなかったということについては。
「残念ながらケガということが原因ですね。非常に期待している選手たちのケガということです。そういう意味でも、このワールドカップが終わった後の期間からしてみると、そんなに選手たちの枠はまだ広がっていませんので、その中でも僕自身の気持ちを揺るがす選手が出てきたというのもあるのですが、それもケガということになって残念だと思いますが、そういった選手も必ずや次のなでしこで活躍できる。

そして今非常に辛い状況かもしれませんが、精神的に一回り大きくなれるチャンスだと思いますので頑張ってほしいと思います。カナダはシンクレア選手を中心として、やはりパワーがあるチームですし、アメリカと1-2ということで、接戦できたのは本当にいい集中した守備、そしてGKがとてもいいプレーヤーでした。それを中心として守備がしっかりとしつつ、カウンター、シンクレア選手のカウンターのプレーでアシストした点だったのですが、そういう意味では実は、カナダ、スウェーデン、南アフリカと、本当に男子顔負けのフィジカルを持った選手がいるという共通点があります。

そんなところですね。それを今1人で守る、2人で守るのもきついんじゃないかということです。それでも我々は11人で攻守にわたってやる、そうすれば十分勝機がある。そのためにはいい準備をしていかなければならないと思っています。ですが、第1戦をやるには、オリンピックもワールドカップも同じ監督と対戦していますし、彼は我々のウイークなものもレベルの高いパフォーマンスも熟知しているので、視察しただけではなく、裏の裏を考えて準備しなければならないと考えています」

――丸山選手への期待は何でしょうか。
「ワールドカップのドイツ戦、決勝ゴールを挙げて苦しい試合を決めて、厳しい試合を決めたゴールを挙げたという中で、実際に今トレーニングをしている中でまだ100パーセントのコンディションではないのですが、まだトレーニングの段階なのですが、正確なゴールを隅に入れるということで、感覚的にはしっかりしていること。そういうことから逆算して、必ずや必ずやオリンピックも途中から投入してゴール、あるいはアシストプレーというパフォーマンスを見せてくれるということを期待して選考させてもらいました。あとはオフザピッチでのポテンシャルも非常に高いものがあります(報道陣笑い)」