「日本の人身売買の実態はカンボジアやインドと同じレベル」、「日本はG8国で唯一、人身売買対策が不十分」――6月下旬、東亜日報をはじめ韓国の主要新聞に、何ともセンセーショナルな見出しが躍った。

 ソウル駐在の日本人ビジネスマンは顔を曇らせる。

「日本は人身売買を野放しにしていて、その最大の被害者が韓国人女性だという内容です。またぞろ強烈な日本批判が飛び出したわけで、現地の日本人の間では、“第2の従軍慰安婦問題”に発展しなければいいんだが、と心配しています」

 ことの発端は、去る6月20日に日本のNPO法人「ポラリスプロジェクトジャパン」が開いた記者会見だった。参加した記者の一人がいう。

「ここで、アメリカ国務省発表の『人身取引年次報告書2012』に関するセミナーがあり、性的搾取や強制労働に対する日本の実態が指摘されたんです」

 同報告書において日本は、12年連続で「人身取引根絶の最低基準を満たさない国」の名指しを受けている。3階層のうちの「第2階層」に当たり、先進国では最低クラス、ルーマニアやコソボと同じレベルだ(韓国は最上位の第1階層)。

「ポラリスプロジェクトは2005年からホットラインを設置し、人身売買や強制労働、売春に泣く女性の相談を受けています。これまで約2500件の相談のうち、日本人は36%、次いで韓国人が29%と外国人では最多だったそうです」(前出・記者)

 ちなみに3位はフィリピン人11%、4位がタイ人7%だった。

 確かに、日本政府はいまだに包括的な人身取引対策法を制定しておらず、被害者保護の体制も整備していない。東南アジアへの幼児・少女買春ツアー対策が不十分という声も根強い。

 こういったお粗末な現状が、反日感情うずまく韓国メディアの眼にとまったのも無理はない。中央日報の日本語版ネット記事はこうだ。

〈韓国人の多くが、簡単に稼げるというインターネットでの虚偽広告などを見て日本行きを決めた。日本で大学進学を希望していたが、売春組織に売られた女性もいるという〉

 同紙はポラリスプロジェクトが公開した、韓国人女性からの救助要請メッセージも紹介している。女性は韓国人ブローカーにだまされ来日、上野で売春を強要された。

〈昨年春に救助を求めた時、女性は骨盤腹膜炎で大量に出血しており、食事も取っておらず自力で起き上がれない状態だった〉

 韓国メディアの熱心な報道に対し、日本国内でもネットを中心に過激な反応がおきている。一方的に日本を悪者にする韓国側の姿勢に反発する内容が目立つ。「自業自得」、「もう日本に来なくていい」、「むしろカネを巻き上げられているのは日本の男だ」という声も根強い。

 毎度のことだが、嫌日・嫌韓のいがみ合いは、エンドレスゲームの様相を呈している。

※週刊ポスト2012年7月13日号