生活家電編

業界トレンドNEWS Vol.137

海外メーカーの台頭で競争が激化しているこの業界。国内メーカーの注力分野は?


■海外メーカーの台頭で競争は激化しているが、「エッジの効いた商品」の開発に商機を見いだす

生活家電とは、エアコン、冷蔵庫、洗濯機、電子レンジなど、家事や暮らしに欠かせない電器製品のこと。白い外観の商品が目立つため、「白物(しろもの)家電」と呼ばれるケースも多い(これと対比させる形で、テレビやオーディオ機器などの娯楽用電器製品を「黒物家電/くろものかでん」と呼ぶこともある)。典型的な耐久消費財で、平均使用年数は7年以上と長い。また、多くの商品は普及率が100パーセントに近い状況。そのため、国内市場に限れば、新規需要・買い換え需要は頭打ちの状況だ。

ここ数年の国内市場では、低価格を武器にしたアジアメーカーの進出が加速している。中国の海爾集団(ハイアール)、韓国のLG電子などは、すでに日本で一定のシェアを確保。以前は海外の家電製品に拒否反応を示す消費者が多いとされていたが、近年では低価格志向が強まっていることもあり、安価な海外ブランドに抵抗感を持たない人が増えてきた。そのため、パナソニック、日立製作所、三菱電機、東芝、シャープといった国内大手メーカーは逆風にさらされている。

ただし、国内企業がすべての局面で苦境に立っているわけではない。社団法人日本電機工業会(JEMA)によると、2011年度における家庭用電気機器の市場規模(出荷額ベース)は2兆1520億円。エコポイント制度の影響で大きく売り上げを伸ばした10年度より4.1パーセント落ちたが、それでも、過去10年間で見れば2番目に高い水準だった。消費者ニーズをきちんとつかめば、ヒット商品を生み出し売り上げを伸ばす余地は大いにあると言えるだろう。そのためには、際だった特色を持つ「エッジの効いた商品」の開発が不可欠だ。例えば、水蒸気によって食品を焼き、塩分や脂肪を削減できるスチームオーブンレンジ「ヘルシオ」(シャープ)、米を米粉にせず、そのままの状態で使える製パン器「GOPAN」(三洋電機)は、高価格にもかかわらず大ヒット商品となった。

商品開発の上で重要なキーワードは、現在2つある。1つ目は「省エネ」だ。東日本大震災によって国内の原発の多くが稼働停止に追い込まれた結果、日本の電力需給は厳しい状況。電気代の値上げなどもあり、消費者の節電意識は高まっている。そこで、消費電力の削減を訴求する製品はますます増えるだろう。また、家庭内の家電製品を接続し、全体の消費エネルギーを管理する取り組みも進みそうだ。そして、2つ目のキーワードは「スマートフォン連携」。例えば、パナソニックはスチームオーブンレンジや炊飯器に、スマートフォンを触れさせるだけで焼き加減・炊き加減が設定できる機能を搭載。またシャープは、外出先のスマートフォンから室内の様子を確認できるカメラを内蔵した掃除ロボットを開発した。スマートフォンを入口にして家電のネットワーク化・一元管理を目指す試みは、今後も活発化すると考えられる。

海外、特にアジア地域での拡販も焦点。各社は、新興国向けに価格を抑えたり、現地のニーズを取り入れたりした新商品の開発に注力している。また、中国企業と国内メーカーが手を組む動きにも注目が必要だ。日本メーカーの強みは、ブランド力と商品開発力。一方、中国企業は中国などでの販路と豊富な資金力を持っている。例えば、12年3月に海爾集団が三洋電機が持っていた生活家電事業の一部を買収したように、「日本+中国」を模索する試みは今後も起こりうるだろう。