通貨の動きを注視するブラジル当局の動き

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ブラジルの高成長と国際的な信用力の向上などを背景に、海外の投資資金の流入が加速したことなどを受け、ブラジルレアル(以下、レアル)は2003年以降、上昇基調を強める動きとなりました。

レアルの高騰は、国内輸出産業の競争力低下をもたらすことから、金融危機以降に景気が持ち直しをみせるなか、ブラジル当局は強い懸念を示し、レアルの売り介入や資本規制の強化(海外からの投資に関する課税の強化)によるレアル高抑制策を打ち出してきました。

2008年には、世界的な金融危機への対応の一環として、海外からの投資の一部の為替取引に対する金融取引税を引き下げた局面もありましたが、2009年以降は、世界の投資家の不安心理が落ち着きを取り戻すに連れて、同国への資金流入が再び活発化したことで、レアル高につながったことを受け、繰り返し、資本規制の強化を行ないました。

2011年夏以降、先進国景気の鈍化が強まっていることから、ブラジル経済に与える影響を懸念し、当局はいち早く金融政策をインフレ抑制から景気重視へと転換しました。

また、2011年12月には、減税や政府系金融機関による低利融資の拡大といった景気刺激策なども実施し、景気のテコ入れに軸を移し始めました。

こうしたなか、欧州債務問題の深刻化を受け、投資家のリスク回避姿勢が強まったことなどから、レアルは2012年3月以降、大きく下落する展開となりました。

当局は、こうしたレアル安を懸念し、6月に企業が海外から資金を借り入れる際にかかる金融取引税の課税の緩和を発表しました。

レアル安が行き過ぎて、輸入物価が上昇し、インフレ懸念が高まるのを防ぐことが狙いとみられます。

これまではレアルの上昇阻止に向けて数多くの資本規制を導入してきましたが、今回はその規制の一部を緩和することとなります。

当局は、今後もレアルの動きを注視しながら、行き過ぎたレアル高に対しては規制の強化を行なう一方で、必要以上に通貨下落が強まる局面では、規制緩和を含めた新たな対策を打つことでレアルを下支えするものとみられます。

(※上記は過去のものであり、将来を約束するものではありません。

)(2012年6月29日 日興アセットマネジメント作成)●日興アセットマネジメントが提供する、マーケットの旬な話題が楽に読める「楽読」からの転載です。

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