3月末に1万円台に乗ったと思ったら、4月に下がり始めてこの大惨事…。でも最近、取材していて個人投資家からよく聞くのが「ようやく下がったから仕込みます!」というセリフ。そうそう、その意気で!


2年前の1月に倒産した日本航空(JAL)が6月下旬にも、東証に再上場を申請する見通しだ。今年最大のIPO(新規株式公開)案件となるため、相場に少なからぬ影響を与えるのは必至だ。個人向けにも株式の売り出しが予想される。

JALは、2012年3月期に営業利益が2000億円を上回り、2期連続の過去最高を達成し、あっという間に高収益企業に生まれ変わった。中期経営計画では、連結営業利益率10%以上を目標に据えており、世界有数の高収益航空会社を目指すことになる。

倒産で大損した旧株主でなくとも、"あの大幅赤字は何だったのか" と文句を言いたくなる……。しかし、企業再生という観点では、日本の産業史に残る大成功案件であることは間違いない。新生JALはほぼ満点に近い状態で再上場に臨む。では、投資家や株式市場の側はどうか。

JAL株を保有するのは企業再生支援機構だ。民間から出資を募って3500億円をJALに出資しており、上場が投資の「出口」になる。

JALは実質的にメインバンクだったみずほコーポレート銀行など、大手銀行や大手商社に株式の安定保有を働きかけているようだが、銀行など大口投資家だけでなく、一般投資家に売り出される。上場主幹事には野村や大和など大手証券が指名されており、最強の販売チームができ上がりそうだ。

というのも、財政難の政府は秋にも日本たばこ(JT)株式を売却する計画。JAL株をスッキリ消化すれば、次のJT株放出の際にも政府から販売を任される可能性が高まるので、証券会社の営業攻勢は熱を帯びるというわけだ。

IPO直前に全日本空輸(ANA)など他の銘柄が不自然に値上がりしているようだと、証券会社による高値誘導の可能性がある。公募で買うのは見送り、どうしても株が欲しければ上場1カ月は待ちたい。

一方、上場前に他の銘柄の値動きが落ち着いていれば、妥当な価格で販売される可能性が高い。また、JAL株を買う資金を調達するため、機関投資家がANAや同じ運輸セクターのJR東日本などを売る可能性も高いと思われる。換金に伴う周辺銘柄の値下がり場面は、まさに押し目買いのチャンスになるだろう。



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この記事は「WEBネットマネー2012年8月号」に掲載されたものです。