元オリンピック選手に聞く。フルマラソン完走の効果とトレーニング法




近年注目され、各地で増加しているフルマラソン。体脂肪計などのメーカーとして有名なタニタが2007年に行った「ランニング愛好者と体脂肪」の調査報告書では、次のことが分かっています。



・ランニング歴が長いほど、体脂肪率が低くなる

・たくさん走るほど、体脂肪率が低い

・フルマラソンランナーと体脂肪率の関係では「完走タイムが早いほど、体脂肪率が低い」



元オリンピック・ショートトラックスピードスケートの選手で、現在は「健康と美容」についてのキャスターを務める勅使川原郁恵(てしがわら・いくえ)さんに、フルマラソンを完走するために欠かせないことについてお話を伺いました。



■完走すると2,000キロカロリー以上を消費する



2011年の東京マラソンに参加し、3時間58分で完走したという勅使川原さん。フルマラソンを走ると、どのくらいのカロリー消費があるのでしょうか。



「マラソンのカロリー量は、『自分の体重×42.195キロメートル』で計算することができると言われています。例えば、体重が60キログラムの人は約2,500キロカロリーの消費、50キログラムの人であれば約2,100キロカロリーの消費になります。



ごはん1膳(ぜん)(ぜん)で約230キロカロリーですので、体重60キログラムの人がフルマラソンを完走すると、お茶わん約11杯分のカロリーを消費したことになります」



それはかなりの消費量です。ではここで、勅使川原さんに、

「フルマラソンを完走するためのトレーニング」について、レクチャーしていただきましょう。



1.フルマラソンに出るまでのトレーニング期間を6カ月と目標を設定します。

ランニングが初めての人はまず、「1日30分以上のウォーキングを週に3回」から始め、走る足、動く体をつくっていきましょう。



2.1カ月後には毎日1時間の運動を

1カ月後には、平日は1回につき30分ウォーキング&30分ジョギング=1時間の運動を、休日は1回60分のジョギングをします。週2回、例えば月曜日と金曜日と決めて、休養を入れることがポイントです。

最初の2週間〜1カ月は、1キロメートルを7分ぐらい(1時間で約8.5キロメートル)のペースで走り、体を慣らします。



また、運動前に、ランジ(肩幅程度に足を開いて、背筋を伸ばし立つ。片方の足を一歩前に大きく踏み出し、2〜3秒おいて元に戻す。もう一方の足も同様に)を片方の足10回ずつ・両足で20回×1セットを行います。足とおなかの筋肉強化につながります。



筋肉痛や体調不良が起これば、すぐに休みましょう。



3.その後は3カ月余り、体調を見ながら速度を上げ、距離を伸ばしてみます。



4.本番前2週間は、1時間でおよそ10キロメートルを走るようにします。そのとき、2時間ほど続けて走ることができるかを確認します。



苦しいときは無理をせずに、ウォーキングに切り替えたり、休息を取りましょう。



毎回、運動前後はストレッチを10分以上は行うようにしましょう。



■目標、記録、ゴールした自分の姿をイメージする



継続の秘訣(ひけつ)について、元アスリートならではの勅使川原さん流の考え方を教えてください。



「現役時代はいつも、目標を明確にして練習メニューを考えていました。

1カ月単位など大ざっぱでいいので計画を立て、記録ノートを作る、手帳に今日走った距離だけでも記しておくと自分の練習方法を体得することができるでしょう。



そして、ゴールした自分の姿など、いつもいいイメージを具体的に持ちましょう。モチベーションアップにつながります。



また、疲れはできるだけその日のうちに解消し、翌日に残さないことが重要です。ウォーミングアップ、クーリングダウンは時間をかけ、体をいたわります」



最後に、勅使川原さんは、マラソンの効能についてこう話します。



「いろいろな研究報告があるように、マラソンは体脂肪率を低下させることが分かっています。体脂肪率が低くなることで全身がシェイプアップされ、それがメンタル面にも良い効果をもたらします。ですから私は、マラソンは心身ともに若さを保つためのよい方法だとお勧めしています。



特に、フルマラソンの完走は達成感を強く感じることができるので、普段の生活に刺激が生まれます。ストレス解消の効果は大きく、仕事と趣味と体力づくりといった、メリハリがある毎日を送ることができます。

仕事でのモチベーションがアップすることにも直結するでしょう」



2,000キロカロリー以上を消費し、体脂肪率ダウンでシェイプアップ、若さをキープ、メンタル面にも良い効果が……。これはもう、今からすぐに始めて、半年後にはフルマラソンに挑戦です。







監修:勅使川原郁恵氏。ショートトラック・スピードスケートの種目で‘98年長野五輪、2002年ソルトレークシティー五輪、さらに’06年トリノ五輪と、3度のオリンピック出場・入賞を果たす。

引退後、朝日新聞のプリンセスウォーカー、(社)日本ウオーキング協会のウォーキング親善大使などを経て、多くの企業のウォーキング・アドバイザーを務めながらメディアや講演など多方面で活躍中。温泉ソムリエ、野菜ソムリエなどの資格をも有し、「年代を問わない美と健康」を提唱している。

著書の『ウォーキングでナチュラル美人ダイエット』(扶桑社 1,365円)は、ウォーキングでけんこう骨や骨盤、精神面などへ働きかける方法とその効果をわかりやすく解説した好評の一冊。





(阪河朝美/ユンブル)