EURO2012も終わり、欧州サッカーはしばしのバカンスを経て、新シーズンが始まる。移籍市場の話題も喧しいが、この夏も日本から海を渡った選手たちがいる。とりわけA代表の2人、酒井宏樹はハノーファーへ、清武弘嗣はニュルンベルクと、どちらもドイツに移籍した。両選手とも移籍金は推定1億円。複数年契約の完全移籍とのことだ。
 
 日本の若い選手がさらなる成長を求めて海外リーグに挑戦するのはいいことだ。だけど逆の視点で見ると、Jリーグへの危機感を感じる。毎年のように有望な若手選手が外へ出ていくのには、「レベルの高い舞台への挑戦」という意味とは別に、彼らにとってJリーグが魅力的な場所ではない、ということがあげられる。一昔前とは違い、いまは高卒でJクラブに入るよりも、大学を選択する選手が多いし、高卒ですぐに海外へ渡る選手もいる。

 プレーレベルの低下も甚だしい。その証拠が順位表の団子状態だ。今、Jリーグの強豪チームは? と聞かれて答えられる人はどれだけいるかな。

 では、Jリーグは輸出リーグとして生きるしかないのか。それにしては、ビジネスが稚拙だ。どちらも日本代表クラス、それも若手といえば、宝とも呼べる選手たちだよね。それが1億円の移籍金では、欧州の思う壺だよ。選手たちが躊躇なく外へ出ていくのも、当然年俸面での未練がないからだろう。
 
 そうかと思えば、Jリーグ本部は黒字である。権力とお金の中央集権化は、うまくいっている。Jリーグをもっと魅力的なリーグにし、ビジネス面でも欧州に引けをとらないものにするためには、何よりJリーグ自体の意識を変える必要があると思っている。

 もう一度Jリーグの規定を見直すべきじゃないかな。スタジアムが何人以上収容だとか、運営はこうでなければならないとか、そんなところにばかりお金をかけるのではなく、一番大切なのはどこか。リーグの命は、選手のはずだよ。赤字でも夢があるならいい。黒字で夢がないのが一番質が悪いよ。求む体質改善だね。