つぶしが利く! 特殊車両の免許




日払いで単価のいいアルバイトというと「羽田の倉庫でフォークリフト作業」といった仕事が検索で出てきます。これをやるためには当然フォークリフトを動かせないといけないわけです。フォークリフトやクレーン車などが扱えると「いい仕事」になりそうなのですが、この免許を取るのは難しいのでしょうか? 東京クレーン学校、副校長の時田 智さんにお話を伺いました。



■特殊車両免許にもいろいろある!



――特殊車両を扱えると仕事の幅が広がりそうですが、その資格を取るのは難しいのでしょうか?



時田副校長 特殊車両の免許の種類は非常にたくさんあるんですよ。代表的なものをまとめてみます。大きく「公道走行用」免許と「作業用」免許に分かれます。



公道走行

●大型自動車免許

●大型特殊自動車免許

●けん引車免許

●普通二種免許

●大型二種免許

など



作業

●クレーン・デリック運転士免許

●移動式クレーン運転士免許

●フォークリフト技能講習

●小型移動式クレーン技能講習

●玉掛け技能講習

●高所作業車技能講習

●車両系技能講習

など



――公道走行の方は、普通の自動車教習所さんでも受けられそうですが……。



時田副校長 そうですね……(ここで上げた公道走行系の免許に関して)弊社は全部ありますが、大型特殊、けん引などはない教習所さんもありますね。



――「作業系」の方で、東京クレーン学校さんで受講できるものは?



時田副校長 (前述の)上から5つ、クレーン・デリック運転士免許から玉掛け技能講習までを用意しています。



――それはニーズの高いものを用意しているということでしょうか?



時田副校長 そうですね。



――例えば、この「作業系」の移動式クレーン運転士の免許を取れば、クレーン車を動かしてもいいのでしょうか?



時田副社長 いや、そこが問題でですね(笑)。例えば、今日は「現場でクレーン車で作業だ」といった場合、作業場までクレーン車で行かないといけないことが多いです。その時には、クレーン車を公道で走らせるための免許が必要です。



――あ、なるほど! ということは……。



時田副社長 クレーン車を公道で走らせるために「大型特殊自動車免許」が同時に要るわけです。もちろん作業現場で動かすだけなら移動式クレーン運転士免許だけでいいのですが、それで済むのは現実的には少ないと思います。



■フォークリフトは一番人気!



――作業系でもっとも人気のある免許は何でしょうか?



時田副社長 フォークリフトでしょうね。これはいつも人気あります。荷物の積み下ろし現場でフォークリフトを使わない所はおそらくないですからね。ただ、気をつけてほしいんですが、この「フォークリフト」は免許ではないんですよ。



――えっ? 免許じゃないんですか?



時田副校長 (前述の)表記をよく見てください。フォークリフトから下は「技能講習」になっているでしょう? これは定められた技能講習を受けたら、その「修了証」がもらえますので、それで動かしていいんですよ。



――知らなかったです!



時田副校長 知らない方が意外に多いです(笑)。ちなみにフォークリフト技能講習は4日で修了です。



――マイナビには若い読者が多いのですが、「これ取得しとくとつぶしが利くよ!」という免許があれば教えていただきたいんですが。



時田副校長 実はですね、今は難しい時代でして、1つ取っとくとOKということはないんですよ。



――と言いますと?



時田副校長 不景気なんで人件費の節約という側面もあるんでしょうが、1人の人間が色んな作業を任せられる時代なんですね。例えば、今日はフォークリフトで作業をしたけど、明日はクレーンを頼む、なんてことが頻繁にあるわけです。



■つぶしの利くお薦め免許セットはこれだ!



――なるほど、複数の技能が必要なんですね。では、時田さんお薦めの「つぶしの利く免許セット」を教えてください(笑)。



時田副校長 つぶしの利くセットですか(笑)。そうですね、公道走行で必要な「大型自動車免許」と「大型特殊自動車免許」。それに作業に必要な「クレーン・デリック運転士免許」、「移動式クレーン運転士免許」、「玉掛け技能講習」。この5点セットですね。



*……ちなみに「玉掛け」というのは、荷物にワイヤーなどを掛けてクレーンでつれるようにする作業のことです。荷物にうまくワイヤーを掛けないとつったとたんに荷物が外れて落ちたりするので、特殊な技能が必要なのです。



■東京クレーン学校での免許取得にかかる費用

●大型自動車免許:422,700円(中型自動車免許があれば259,700円)*

●大型特殊自動車免許:264,100円(普通自動車免許があれば146,800円)*

●クレーン・デリック運転士免許:132,000円+クレーン教材費4,500円

●移動式クレーン運転士免許:132,000円+教材費4,200円

●玉掛け技能講習:22,500円+教本代2,000円



*は併設されている平和橋自動車教習所での価格です。



――これを全部取得すると結構な金額になりますね。総額984,000円です。



時田副校長 取得の順番の問題もありますよ。例えば玉掛け技能講習は免許を何も持ってない場合には22,500円ですが、クレーン運転士の免許を持っていれば18,000円になります。普通自動車免許があれば大型特殊自動車免許は146,800円になりますし。



――なるほど。では順番を考えて取得しないといけませんね。



時田副校長 クレーン関連の仕事をやるのであればこのセットで完全だと思います。



■クレーンはあちこちで活躍している!



――クレーンの免許などを取りに来られる人はどんな人たちでしょうか?



時田副校長 若い方も多いですね。それこそ高校出てすぐの18歳の方。上は60歳以上の方もおられますし。入った会社にクレーンがあって、それを動かさなければならないという人が多いです。



――なるほど。クレーンの免許を取得しようとする人はやはり建設業の人が多いのでしょうか?



時田副校長 いや、実はそうでもないんです。クレーンにもいろいろありまして、工場にあって、レールで移動させて作業するものが多かったりとか。そうすると製造業ですよね。また、港湾でコンテナを移動するのに使われているクレーンなどもありますし。



――なるほど。ほかにもありますか?



時田副校長 例えば清掃業。これも意外と多いです。ゴミを焼却するのに、クレーンを使ってゴミを焼却炉に入れたりしますので。最近は自動化されてるところも多いと聞いてはいますが。鉄道会社さんも実はお得意さまです。車両をメンテナンスする際にクレーンでつり上げる必要があるんです。あとはご時世的ですが、原発。建屋の中ではクレーンが稼働しているんですよ。燃料棒の出し入れ、これにはどうしてもクレーンが必要ですから。



■ゴールーデンウィークパックは人気だった



――ということは免許を取っておくと働く場所が結構ありそうですね。免許を取得したい人が実はたくさんいるんじゃないでしょうか?



時田副校長 そうなんですよ。実は、弊社でも今年初めて、ゴールデンウィークを使って免許を取りましょうというパックを始めてみたんですが、それが個人の方に好評でした。免許を取得するためには連続して教習を受けなくてはならないんですが、働いていると連続7日とか休むのは無理じゃないですか?



――毎日連続して受けなくちゃいけないんですね?



時田副校長 そうなんです。ですので、ゴールデンウィークで取得できるパックには「こういうのが欲しかったんだ」という反響がありまして。土日をメインに取得するコースも人気で、まずそこから埋まります。



■取得したての初心者に仕事はある!?



――ただ、ひとつ気になるのは……免許取りたての人間にすぐ仕事があるかということなんですが。



時田副校長 おっしゃるとおりですね。やはり経験を積んで熟練者になっていく仕事ですのでね。ただ、初心者でも教えますからという求人票を出される会社さんもありますよ。弊社にその求人票を置かせてほしいと頼みに来られる会社さんも結構多いです。なので初心者だからダメということはないと思います。



正直、調べるまでは、東京都内にクレーンの免許を取得できる教習所があるとは思ってもみませんでした。時田副校長にお話を伺って、筆者も免許を取りたいなあと思いました。みなさんも「つぶしの利く特殊車両免許」いかがですか?





(高橋モータース@dcp)



東京クレーン学校

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