昭和天皇もお城好きだった!? 城好きが増えている件




お城好きな人が増えていると思いませんか? 有名なところでは『ロンドンブーツ1号2号』の田村淳さん、アナウンサーの安住紳一郎さん、落語家の春風亭昇太さん、プロレスラーの藤波辰爾さん、歌舞伎俳優の坂東三津五郎さんなど挙げればキリがありません。なぜお城好きは増えているのか? 歴史研究家の藤井尚夫さんにお話を伺いました。



■昭和天皇もお城がお好きだった!?



――お城が好きな人って最近増えているような気がするんですが。例えば落語家の春風亭昇太さん。かなりのお城好きで本を出したりされていますね。



藤井さん 春風亭昇太さんはかなり活動的な方ですね。「えっ? ここに行ったの?」なんていう、知る人ぞ知るお城に行ってたりとか。それもblogに書きこんでおられたり。



――城好きな人が増えている理由は何でしょうか?



藤井さん うーん。昔から一定数の城好きな人がいたんじゃないでしょうか。それが自分の趣味をblogやtwitterに書き込んで顕在化していると言いますか。



――なるほど。カミングアウトする人が増えた、と。



藤井さん 趣味として一般に認められてきたと言いますか。知っていますか? 昭和天皇もお城がお好きだったという話があります。



――えっ、昭和天皇は植物学者だったのではないんですか?



藤井さん お城もお好きだったそうです。陛下が特に気にされていたのは織田信長の清州城で。



――清州城ですか。



藤井さん 鳥羽正雄先生という方がおられたんです。この方がお城の研究で博士号を取った第1号なんですね。で、宮内庁から「お城の講義」を陛下がしてほしいということで鳥羽先生のところにご要望があったんですよ。「清州城ってどんなお城だったのかね」とお聞きになったとか。



■戦後すぐにあったお城ブームは『日本の名城』から



――お城好きの人たちはどこからファンになったんでしょうか。



藤井さん お城好きな人たちの間では戦後すぐにブームがあったんですね。



――えっブームがあったんですか?



藤井さん そうです。戦後のお城ブームの震源というのは『日本の名城』という本が出版されたことだと思います。(旧)人物往来社から昭和34年(1959年)9月1日に刊行されました。日本のお城の紹介なんですが、素晴らしかったのは各城の年表が付いていたことです。そしてこの本が大当たりするんです。



――あ、そんな本があったんですね。



藤井さん 私の持っているのは昭和34年の9月10日、第三版です。9日目に第3版。すごいベストセラーでしょ。あまりに売れたので、『続・日本の名城』、『名城名鑑』、『続・名城名鑑』と続刊が次々出ました。



――では、やはりそれだけお城好きな人がいたと。



藤井さん 売れたということはそうですね。また戦後の復興、復元ブームが背景にあったことも見逃せないですね。戦災で日本全国のお城が燃えちゃいましたでしょ。戦後それを復元するというムーブメントがあったんです。



■お城好きにも色んなタイプが……



――ひと口にお城好きと言ってもいろいろなタイプの人がいるんでしょうか?



藤井さん そうですね。まず文献を集めるのは好きな人、実際に行く人、それに資料を元に図面を描く人、主にこの3種類でしょうか。



――文献を集める人は自分の好きなお城に関してだけ資料を集めるんでしょうか?



藤井さん いえ日本中のお城の資料を集めますよ。



――藤井さんはご自分で「安土城の復元図」を起こされたりしてますが、藤井さんは3番目のタイプなんですね。







↑藤井さんの描かれた丸岡城の緻密(ちみつ)な復元透視図。内部もリアルに再現されている。







藤井さん 私は資料も集めますし、実際に行きますし、図面も起こしますし(笑)。すべてやりますね。



――最近は歴女と言って、歴史好きな女性が増えているようですが、お城好きな人たちの輪に入って来る人は女性でもいるのでしょうか。



藤井さん おられます。私も歴女の皆さまをお連れする「歴女ツアー」のコンダクターみたいな仕事をたまにしていますよ。中にはお城が好きになってくる人もいます。



――お城好きになるきっかけはそれぞれに違うのでしょうか。



藤井さん お城好きになるには最近は3つぐらいのルートがあるんじゃないでしょうか。まず「大河ドラマ」から来る人。次に『信長の野望』などの歴史ゲームからやってくる人。最後に漫画から来る人。大体この3つになると思います。



■パーツごとに好きな人がいる!



――お城好きというとお城全部が好きなのでしょうか。



藤井さん 専門分野と言いますか、パーツごとに分かれているように思いますね。



――というのは?



藤井さん 例えば「石垣」。石垣が好きな人は結構石垣ばっかり追いかけたりしますし。石の積み方にもいろいろありましてね。



――ほかには?



藤井さん 土塁、掘、天守などの構造物、城門、瓦、後は大きく「縄張り」でしょうか。



――縄張りというのは?



藤井さん 「縄張り」は専門用語になりますが「レイアウト」と考えてください。その城がどのようにレイアウトされているのか、なぜそこに堀をほったのか、なぜそこに櫓台が造られたのか、そういったことを考えるのが好きな人は、「縄張りマニア」ですね。城の機能や種類によって縄張りは異なりますから。











↑大垣城の復元図。藤井さんの精密な絵で合戦の迫力が伝わって来る。







――なぜ縄張りと言うんですか?



藤井さん お城を建てる時には、文字通り現地に縄を張って、区分けして作業するからですね。



――例えば後世の目から見て、「縄張りがおかしいんじゃないか?」というお城はありますか?



藤井さん それは結構あります(笑)。正面ばかりしっかり造られ、横に回るとほとんど防御がなされていない城もあります。籠城(ろうじょう)戦が想定されず、見栄えだけで縄張りされている城ですね。



■お城好きは深遠な趣味である



――お城好きは相当深い趣味なんでしょうか?



藤井さん 相当深いですよ(笑)。古代から、鎌倉時代、室町時代、戦国時代、近世、近代に渡って日本にお城の遺構がいくつあると思いますか? 3万カ所と言われています。



――3万カ所! 数から言ってもとても網羅できないですね。



藤井さん で、それぞれに歴史があって、もう突っ込んでいくときりがないんですよ。だから非常に深くて楽しい趣味なんじゃないでしょうか。



お話を伺っていると「お城好きの道」は相当に奥深いものだとわかりました。みなさんもちょっとかじってみませんか? 足抜けできないかもしれませんよ!







(高橋モータース@dcp)