ノーラ・エフロンがこの世を去った――私には信じられない。月曜日の夜に彼女の息子マックスから電話があったとき、私はちょうどディナーから帰宅したところだった。彼は「母(ノーラ)は目を覚まさないでしょう」と言ったのだ。


(ノーラの訃報は)受け入れがたいニュースだった。私が彼女の近くにいた数年間、そこにはエネルギーやアイデア、そしてジョークが飛び交い、喜びの感覚もあった。

実のところ、私がノーラと最後に会ったのは、友人のリタ・ウィルソン(俳優トム・ハンクスの妻)がニューヨークのパブJoe's Pubで歌手デビューを果たしたことを祝う内輪の集まりだった。その晩ステージを終えたリタは、ノーラを自分の友人かつメンターだとして乾杯したのだが、私はそのとき、ノーラはどれだけ多くの人にその役割を務めてきたのだろうとも思っていた。ノーラは自分が挑戦したすべての物事と同様に、友情に関しても長けていたのだ。

ノーラはハフィントン・ポスト(Huffington Post)ファミリーにとっても、必要不可欠な人物だった。寄稿者や投資者、サポーター、そして(2005年5月に)ハフィントン・ポストが創設される数か月前から定期的に相談役を務めてくれていた。とはいうものの、雑誌や小説、エッセイ、映画、演劇といった数多くのフォームで素晴らしい業績を残してきた彼女ながら、ネット上でのブログとそのつながりに足を踏み入れることに、初めはためらいも感じていたようだ。だが最終的には参加してくれることになり、"ブロガーのノーラ"が誕生した。

ここ数年で100近くの記事を書いてくれたノーラ。各記事には彼女の素晴らしいウィットと洞察力が見え隠れしていた。(記事の内容は)政治や大衆文化、そして食べ物(ノーラの得意科目の1つ)から、ニューヨークでの屋外劇『シェイクスピア・イン・ザ・パーク/Shakespeare in the Park』といった夏の楽しみまで、多岐に渡るものだった。中でも忘れられないのが、"My Weekend in Vegas"という記事で、これはラスベガスのカジノ王スティーヴ・ウィンが1億3,900万ドルで売却したばかりのピカソの絵に誤って穴を空けてしまったのをノーラが目撃したことについてだった。

ノーラはブロガーとしてだけでなく、"ブログの伝道者"としても目覚ましい活躍を遂げた。彼女は「ブログを書く理由の1つは、自分が書かなければ語ることなどなかったであろう事柄の話し合いの場を作ったり、会話をスタートさせるため」だと理解していた。ノーラはまた、"ブログは石けんの泡(=はかないもの、少しの間しか続かないもの)"という絶妙な表現も残している。

1人の寄稿者だけにとどまらなかったノーラ。彼女は注意を喚起したり、あれこれ提案したり、さらには素晴らしいアイデアも寄せてくれた。(Huffington Post内でも)非常に人気の高い「DIVORCE(離婚)」セクションにとってはゴッドマザー的存在でもあった。2年前、私とノーラは週末をロングアイランドで過ごしていた。そこには『New York Times』紙のアレッサンドラ・スタンリーもいた。ある朝、浜辺を散歩していたアレッサンドラと私は、お互いの離婚について話しこんでしまったことがあった。ノーラにこれを伝えると、彼女からは<Huffington Post>の新たなセクションは"離婚"にすべきだと考えていた、と返ってきた。

ノーラはさらに、「結婚は"やって来ては行ってしまう"。だけど離婚は"永遠(に続くもの)"なのよ」と続けた。「恋に落ちることについての格言はいくらでもあるけれど、その逆はあまりないのよね」とも。それから5か月後、<Huffington Post>に"離婚"セクションが誕生した。そこにはノーラの著書『アイ・リメンバー・ナッシング・アンド・アザー・リフレクションズ/I Remember Nothing and Other Reflections』からの特別エッセイも掲載された。

数か月前、ノーラは彼女の夫ニック(ニコラス)・ピレッジを交えたディナーの席で、<Huffington Post>の新シリーズの構想を語ってくれた。それは"Breakover"というタイトルで、離婚や病気、愛する人の死といったひどい出来事を乗り越え、自分の人生を立て直した人たちに焦点を当てるものだった。ノーラは数日後、"Breakover"のURLを手に入れたので、私にプレゼントすると言ってきた。そしてちょうど1か月前、ノーラは新たなBreakoverビデオシリーズの最初のテーマを承認してくれたのだった。

仕事の面でいうと、ノーラはたぐいまれな才能に恵まれていただけでなく、すべてを信じられないほど素晴らしく成し遂げる多才なアーティストでもあった。そして1人の人間としては、妻そして母親、そして献身的で寛大、大切でかけがえのない友人だった。彼女の不在を受け入れなければならないのは私だってわかっているけれど、まだ信じられない。

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(原文:Arianna Huffington: Heartbroken In Manhattan: Remembering Nora Ephron)
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アリアナ・ハフィントン
ニュースサイト『ハフィントン・ポスト』の創設者。作家、コラムニスト