本屋大賞で2位に選ばれ、また、山本周五郎賞も受賞した窪美澄氏の『ふがいない僕は空を見た』。主人公・高校一年生の斉藤卓巳は、好きだった同級生に告白されるも、頭のなかはコスプレが趣味の主婦・あんずのことでいっぱい。週に一、二回はあんずの家を訪れては、セックスにあけくれるのです。

 同書は、団地暮らしの同級生や助産院の母を巻き込みつつ、斉藤卓巳が成長していく物語。「性」と「生」が、大胆かつ繊細に描かれており、16歳という複雑な年齢の少年の心情を丁寧に表現しています。また、「妊娠」「出産」がキーワードとなっており、窪氏からの優しく、ポジティブなメッセージを受け止めることができます。

 窪氏は、R-18文学賞の受賞者でもあります。R-18文学賞とは、「女性が書く、性をテーマにした小説」(現在は「女性ならではの感性を生かした小説」)で、応募も審査も全部女性です。そんな同賞の第8回目の受賞者が窪氏なのです。

 この秋、『ふがいない僕は空を見た』が映画となってスクリーンに登場することが決まっています。永山絢斗と田畑智子がダブル主演を務め、大胆な性描写にも挑戦するとのこと。同書発行の新潮社にこれまで、数々の映像化のオファーがあったようですが、今回は、タナダユキ監督がメガホンをとるということが決め手となり、映画化が決定したようです。

 劇場でインパクトある映像を楽しむか、書籍で繊細な心理描写を楽しむか、もしくはどちらも楽しんでしまうか、楽しみ方はあなた次第です。



『ふがいない僕は空を見た』
 著者:窪 美澄
 出版社:新潮社
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