運用上の自由度の高さに魅力がある外国籍投信。日本では規制されているタイプの投信も設定することができるのが特徴です。


メリット多数国内籍とはひと味ちがう外国籍投信を理解する

1990年代以降の長引く株価低迷と超低金利の影響から、日本の個人投資家はより高い利回りが見込める海外投資に活路を求めています。外国籍投信もそのひとつです。

外国籍投信とは、日本で販売されている投資信託のうち、外国において、外国の法令に基づいて組成・運用されているものを指します。少し不思議に感じるかもしれませんが、日本の株や債券などで運用していても外国で設定されたものは「外国籍」となります。

反対に、外国の株式や債券等で運用していても日本で設定された投信は「国内籍」として区分されます。国内籍投信の基準価額はすべて円建てで算出されますが、外国籍は円建てのほか、米ドルやユーロといった外貨建てで基準価額を算出するのが主流です。

金融のグローバル化とIT化が進む中、日本にいながら海外資産に投資することはずいぶん容易になりました。それでもなお投信をわざわざ外国で設定し、「外国籍」として輸入することにどのような意味があるのでしょうか?

最も大きな理由は、運用上の自由度の高さです。海外では日本と運用規制が異なるため、日本ではまだ実現不可能なタイプの投信を設定することができます。外国籍投信の多くは、タックスヘイブン(租税回避地)であるルクセンブルクやケイマン諸島で設定されており、運用に際して税制上の優遇があるのも特徴のひとつです。

今や毎月分配型投信の代表格となった通貨選択型投信も、元をたどれば外国籍で展開されたのが始まりでした。国内籍で通貨選択型が誕生したのはリーマン・ショック発生直後の2009年1月でしたが、実は外国籍投信では3年以上も前の2005年11月に「通貨選択型」という呼称が使われていました。外国籍がパイオニアとなり、後に国内籍で展開された例は過去にBRICsをはじめとする新興国株式型でも見られました。

国内籍にはまだ存在しない新しい運用手法や投資先にアクセスできるという点で外国籍は有用ですが、注意すべき点もあります。

"輸入品" である外国籍投信の多くは、購入時や運用期間中の手数料が国内籍よりも高くなっています。また、国内籍の大多数が1万円から購入できるのに対し、外国籍の中には最低購入金額を数十万円程度に設定しているものもあります。さらに、購入や解約の時期に制限が設けられているファンドもあります。運用の自由度が高い半面、購入前に確認すべき項目が多いのもまた外国籍の特徴です。目論見書「ルクセンブルク籍」や「ケイマン諸島籍」のように、外国籍である旨の記載がありますので、確認するようにしましょう。



【爆笑マネー漫画投信編】海外ものに目がない家康の巻

海外で設定されながら、日本で販売されている投信があることを知った家康。自由度の高さが魅力の外国籍投信に見習って海外のよいところを幕府にも取り入れようとしたが、コストが高くついてしまい・・・。



【今月の投信師匠】
篠田尚子(SHOKO SHINODA)
トムソン・ロイター・マーケッツ

リッパージャパンに所属するファンドアナリスト。情報量の多さと分析の鋭さは天下一品!


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この記事は「WEBネットマネー2012年7月号」に掲載されたものです。