Darvish Journal 2012 Vol.15 - まさに「通過点」の10勝目 そしてオールスターへ
マウンド上のダルビッシュはいつだって魅力的だが、試合後の記者会見でのダルビッシュも中々セクシーだ。謙遜も誇張もせず、飾らないシンプルな言葉で、いつもただ思っていることをストレートに口にする。ナンセンスな日本人記者の質問に対しては容赦なく「いや、全然そうじゃなくて、、」と苦笑いしながらバッサリ斬る。模範回答で返してくるわけでもなければ、無理矢理面白いことを言う訳でもない、でも自分の考えをハッキリと言う。何というか、実に「今っぽい」選手だなあ、と思うところだ。
2012.06.26 vs Detroit Tigers
ナイターにも関わらず気温39度というアーリントンの灼熱の下、M.カブレラ、P.フィルダー擁する強打のタイガースと相対したダルビッシュ。フィルダーとの対戦では第1打席に2ランダブル、第2打席にソロHRと打ち込まれたが、尻上がりに調子を上げて、味方も着実に得点を奪い逆転。結局7回113球、シーズン4度目(今季メジャー1位タイ)となる10Kを奪う好投でリーグトップの10勝目。ルーキーとしては現代メジャーリーグ史上2人目となる「オールスター前に10勝&100K」を軽々とマークし、またホームでデビューから7連勝はやはり過去50年で2人目という偉業となった。
ルーキーとして10勝は既に素晴らしい活躍だが、当然ダルビッシュにとっては「通過点」に過ぎない。ゲーム後の会見でも「普通の1勝」といつも通り涼しい顔で答え、また入団前から懸念されていたアーリントンの灼熱も「(日本ハムの2軍がある)鎌ヶ谷の方が暑い」と豪語し、記者達を驚かせた。ダルビッシュのあまりの逞しさにMLB.comは「40度の灼熱もダルビッシュを止めることはできなかった」と、また地元メディアも「ダルビッシュはテキサスの酷暑は経験したが、またホームでの敗戦を経験していない」と称えた。
通過点とはいえ、まだシーズン半分も終了していない時点で10勝は周囲の期待以上といっていい。投球内容がどうのこうのと細かい注文をすればキリがないが、単純計算で20勝ペースである。シーズン前に「ダルビッシュは成功する」と語っていたアナリスト達の間でも、予想する勝利数としては「12〜14勝」といった回答が多かったように記憶している。「ダルビッシュは素晴らしい逸材だが、メジャー1年目としては1スターターとして12〜14勝すれば充分」という認識だったのだ。それが現在、D.ホランド、N.フェリス、C.ルイスとローテーションピッチャー3人が故障しDL入りしている苦しいチーム事情の中20勝ペースで驀進していることを考えれば、ここまでのダルビッシュの活躍は元々高かった期待をさらに上回っているのだ。
「ダルビッシュは皆が期待していたそれ以上の活躍を見せている。彼が良いピッチャーであることは知られていたが、これ程までに良いピッチャーだと知っていた人は少ないだろう」
さて、時期が時期だけに、ダルビッシュのオールスター選出の可能性についても話題となっている。多くの日本のメディアは既に「オールスター当確」と報じているが、まあ僕もそう思う。ここまでスターターとしてリーグ1位の10勝、リーグ3位の106Kは文句なしにオールスター当確の数字だし、何より数字以上に強烈な「インパクト」を残している。『絶賛売り出し中のM.トラウトとB.ハーパーはオールスターゲームに出るべき』でも述べたように、トラウトやハーパーらと共にダルビッシュも「今最も旬な選手クラスタ」の一員としてオールスターに出るべき存在なのだ。
スターターとしてメジャーのオールスターに選出されるというのは、日本のファンが想像する以上に凄いことだ。というのも、メジャーのオールスターではスターターの選出が大体8人前後、それをALの場合は14チーム(NLは16チーム)から選ぶので、単純に倍率が高い。スターターのオールスター出場は他のポジションと比べても一際難しく、その分名誉あることなのだ。過去にオールスター出場を果たしたアジア人のスターターは、野茂英雄と朴賛浩の2人だけである(ヤンキース時代に2年連続19勝の王健民も選出はなし)。
ダルビッシュ本人はというと「四球の数もリーグ1位なので(オールスターに相応しいとは思わない)」と、謙遜というより第三者が冷静に評価するかのように話していたが、そんなことはハッキリ言ってどうでもいい。全米のファンがオールスターで投げるダルビッシュの姿を見たがっているのだ。四球がいくつだろうがWHIPがいくつだろうがこの際関係ない。ダルビッシュがJ.ボットやR.ブラウンと真っ向勝負をし、ダグアウトでジーターやオルティズと談笑する姿を皆が見たいのだ。
あとは、オールスター出場選手の指名権を持つコカイン厨のワシントン監督が「(ダルビッシュに)オールスター期間はゆっくり休んでもらって万全の状態で後半戦を迎えてもらおう」などとケチくさいことを考えたりすることがないよう祈るだけである。
halvish
P.S.
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はじめは実験的な運用になりますが、読者の方々とコミュニケーションできる場にしたいと思います。
よろしくお願いします。
2012.06.26 vs Detroit Tigers
ナイターにも関わらず気温39度というアーリントンの灼熱の下、M.カブレラ、P.フィルダー擁する強打のタイガースと相対したダルビッシュ。フィルダーとの対戦では第1打席に2ランダブル、第2打席にソロHRと打ち込まれたが、尻上がりに調子を上げて、味方も着実に得点を奪い逆転。結局7回113球、シーズン4度目(今季メジャー1位タイ)となる10Kを奪う好投でリーグトップの10勝目。ルーキーとしては現代メジャーリーグ史上2人目となる「オールスター前に10勝&100K」を軽々とマークし、またホームでデビューから7連勝はやはり過去50年で2人目という偉業となった。
Yu Darvish is only 2nd rookie pitcher in the modern-era to win 10 games and strikeout 100 hitters before the all-star break #rangers #Yu
— Dylan Wallisさん (@dylandoinwork) 6月 27, 2012
ルーキーとして10勝は既に素晴らしい活躍だが、当然ダルビッシュにとっては「通過点」に過ぎない。ゲーム後の会見でも「普通の1勝」といつも通り涼しい顔で答え、また入団前から懸念されていたアーリントンの灼熱も「(日本ハムの2軍がある)鎌ヶ谷の方が暑い」と豪語し、記者達を驚かせた。ダルビッシュのあまりの逞しさにMLB.comは「40度の灼熱もダルビッシュを止めることはできなかった」と、また地元メディアも「ダルビッシュはテキサスの酷暑は経験したが、またホームでの敗戦を経験していない」と称えた。
通過点とはいえ、まだシーズン半分も終了していない時点で10勝は周囲の期待以上といっていい。投球内容がどうのこうのと細かい注文をすればキリがないが、単純計算で20勝ペースである。シーズン前に「ダルビッシュは成功する」と語っていたアナリスト達の間でも、予想する勝利数としては「12〜14勝」といった回答が多かったように記憶している。「ダルビッシュは素晴らしい逸材だが、メジャー1年目としては1スターターとして12〜14勝すれば充分」という認識だったのだ。それが現在、D.ホランド、N.フェリス、C.ルイスとローテーションピッチャー3人が故障しDL入りしている苦しいチーム事情の中20勝ペースで驀進していることを考えれば、ここまでのダルビッシュの活躍は元々高かった期待をさらに上回っているのだ。
I think Yu Darvish has exceeded what everybody thought he was gonna do. I don't think too many people expected him to be THIS good.
— Jeremy Miles さん (@j_kilometers) 6月 27, 2012
「ダルビッシュは皆が期待していたそれ以上の活躍を見せている。彼が良いピッチャーであることは知られていたが、これ程までに良いピッチャーだと知っていた人は少ないだろう」
さて、時期が時期だけに、ダルビッシュのオールスター選出の可能性についても話題となっている。多くの日本のメディアは既に「オールスター当確」と報じているが、まあ僕もそう思う。ここまでスターターとしてリーグ1位の10勝、リーグ3位の106Kは文句なしにオールスター当確の数字だし、何より数字以上に強烈な「インパクト」を残している。『絶賛売り出し中のM.トラウトとB.ハーパーはオールスターゲームに出るべき』でも述べたように、トラウトやハーパーらと共にダルビッシュも「今最も旬な選手クラスタ」の一員としてオールスターに出るべき存在なのだ。
Darvish makes All-Star pitch es.pn/MSs28z
— ESPNDallasさん (@ESPNDallas) 6月 27, 2012
Yu Darvish makes case for All-Star inclusion es.pn/Muem4G
— Richard Durrettさん (@espn_durrett) 6月 27, 2012
スターターとしてメジャーのオールスターに選出されるというのは、日本のファンが想像する以上に凄いことだ。というのも、メジャーのオールスターではスターターの選出が大体8人前後、それをALの場合は14チーム(NLは16チーム)から選ぶので、単純に倍率が高い。スターターのオールスター出場は他のポジションと比べても一際難しく、その分名誉あることなのだ。過去にオールスター出場を果たしたアジア人のスターターは、野茂英雄と朴賛浩の2人だけである(ヤンキース時代に2年連続19勝の王健民も選出はなし)。
ダルビッシュ本人はというと「四球の数もリーグ1位なので(オールスターに相応しいとは思わない)」と、謙遜というより第三者が冷静に評価するかのように話していたが、そんなことはハッキリ言ってどうでもいい。全米のファンがオールスターで投げるダルビッシュの姿を見たがっているのだ。四球がいくつだろうがWHIPがいくつだろうがこの際関係ない。ダルビッシュがJ.ボットやR.ブラウンと真っ向勝負をし、ダグアウトでジーターやオルティズと談笑する姿を皆が見たいのだ。
あとは、オールスター出場選手の指名権を持つコカイン厨のワシントン監督が「(ダルビッシュに)オールスター期間はゆっくり休んでもらって万全の状態で後半戦を迎えてもらおう」などとケチくさいことを考えたりすることがないよう祈るだけである。
halvish
P.S.
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更新情報の他、ブログには書き切れないMLBのユニークなネタや良質な情報、動画コンテンツなどを紹介していきたく考えています。
はじめは実験的な運用になりますが、読者の方々とコミュニケーションできる場にしたいと思います。
よろしくお願いします。
ダルビッシュ世代のMLBフリーク。日刊SPA!やJ Sportsに記事を寄稿したりしています。