映画『THE有頂天ホテル』『マジックアワー』『ステキな金縛り』などでみせた豪華俳優陣の共演のみならず、独自のストーリー性で人気を博してきた三谷幸喜監督。2013年秋公開の最新作は、初の時代劇『清須会議』に決まりました。

 三谷監督の17年ぶりの書き下ろし小説でもある『清須会議』では、本能寺の変で織田信長が没した後、彼の後継者を決めるために登場した猪突猛進タイプの柴田勝家と、用意周到な羽柴秀吉の息詰まる心理戦を描いています。この2人以外にも様々な武将が登場。「情」をとるか、「利」をとるか、丹羽長秀や池田恒興らが揺れに揺れます。また、お市、寧、松姫ら女たちも登場。

 物語は、柴田や羽柴らが尾張・清州城で行った五日間の会議を軸に、現代語訳で展開。冒頭では、燃えさかる本能寺で最後を迎える織田信長の様子が描かれています。

「熱いな。だいぶ熱くなってきた」

「俺の周囲を囲んでいる紅蓮の炎は、やがて俺の身体を焼き尽くすであろう。せっかくなんで、ちょっとかっこ良く言ってみたよ」

「これは言っておいた方がいいだろう。光秀については、俺はそれほど腹は立っていない。まったく立ってないわけじゃないがね。そりゃそうだろ。あいつのせいで、俺、死んじゃうんだから」

「そろそろ腹でも切るか。気を失う前に、武士らしく死ぬこととしようか」


「今、ちょっと腹の皮を切ってみた。あ、意外と痛い」

 などと、やけに冷静に自分の最後を語る信長。現代語訳ともなると、随分と親しみを感じてしまいます。また、表紙のデザインをよく見るとスマートフォンらしきものを耳にあてる男の姿も。どこまで本気かわからない三谷幸喜監督による、遊び心たっぷりの作品です。



『清須会議』
 著者:三谷 幸喜
 出版社:幻冬舎
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