関西テレビの支配権をめぐり、フジ・メディア・ホールディングス(フジMHD)と阪急阪神ホールディングス(阪阪HD)が暗闘を続けている。
 フジMHDはこのほど関テレの株を20.3%へ増やし、議決権ベースで20%を超える「支配株主」に昇格した。このことが内部確執の表面化と指摘され、波紋を広げているのだ。

 フジMHDの狙いは、関テレの経営権を阪阪HDから奪い、完全支配下に置くことなのは言うまでもない。
 関テレは系列局でありながら、フジの意向を無視することがままあった。フジMHDはこのことが不満だったのだ。
 理由は、複雑な株主構成に原因がある。
 関テレの株式保有企業は2系列。これまでの筆頭株主は19.85%を握ってきたフジMHDだった。そして2位が19.10%保有する阪阪HDだ。
 その阪阪HDが関テレを持分法適用会社としており、経済界では同じグループとみられていた。フジMHDとしては完全支配できない立場となる。
 「阪阪HDは、フジMHDの筆頭株主である東宝が母体。フジMHDとしても、東宝の意向を無視し、関テレを完全支配下に置くことはできなかった」(テレビ業界関係者)
 結果、阪阪HDを黙らせるには株の買い増ししかない、というわけである。

 フジと関テレに囁かれる不協和音の実態は、番組を観れば明らか。たとえば、局の顔ともいえる夕方のニュース番組で、フジと関テレは前半、別々の番組を流している。
 フジは午後4時50分から『スーパーニュース』、関テレは午後4時48分から『KTVスーパーニュースアンカー』を放送。そして午後5時54分から『FNNスーパーニュース』につながって行く。
 フジが午後2時から全国ネットしている『知りたがり!』にも同じことがいえる。本来なら関テレは、制作費を助ける意味もあり、フルの2時間放送をすべきであろう。だが、1時間で打ち切って別の番組(『ハピくるっ!』)に切り替えている。
 このように、フジMHDは番組の心臓部分であるニュース番組で、関テレを完全操縦できない状況が続いている。ゆえに、株買い増しで経営権を阪阪HDから奪い、資本をフジMHDに一本化するしか手はないのだ。

 今後、フジMHDはサンケイビルをTOBで傘下に収めたときと同じ手法で、完全支配下に置くことだろう。それも、あまり時間はかからないとみられている。